それでは……本日も、没理想論争前哨戦の逍遥サイドから振り返ってみたいと思います。今日も、『小説三派』『底知らずの湖』『梅花詩集を読みて』につづいて『梓神子』を振り返りたいと思います。
滝沢馬琴そして井原西鶴の怨霊に次いで、巫女に乗り移るのは、近松門左衛門の怨霊です。主人公は近松の嘆きを聞いた後、逆にこんなことを問い掛けます。
しかし、近松はこれに答えず消えてしまい、このあと、無数の怨霊が現れます。
と、まずは紫式部と思われる女性の霊が嘆きます。さらに、
と、男性の霊が嘆きます。さらに、
と、「漢文学」の霊が嘆きます。
日本文学史の成り立ち、助詞・助動詞の使い方、漢文の読み書きなど、作家の評価・批評態度以前に、「日本語」を取り巻く根本的な知識の堕落を指摘します。
そして、数々の怨霊に取り憑かれた巫女はついに気絶してしまうのですが……
この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!