それでは今日も森鷗外の「逍遙子の諸評語」を読んでいきたいと思います。
鷗外は、逍遥の「小説三派」の三分類、すなわち固有派・折衷派・人間派を、ハルトマンの哲学に当てはめ、固有派を「類想」、折衷派を「個想」、人間派を「小天地想」と言い換えます。
逍遥は、固有派は肢体、折衷派は五感、人間派は魂の如しと言い、また、固有派は文人画、折衷派は密画、人間派は油画の如しと言い、そして、固有派は常識(広くて浅い)、折衷派は諸科の理学(狭くて深い)、人間派は哲学(広くて深い)の如しと例えます。そして、このように言います。
逍遥は優劣なしと言っているのに、鷗外は「分類」の名称を変えるどころか、「階級」を設けてしまうんですよ!
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!