それでは今日も坪内逍遥の「入道常見が軍評議」を読んでいきたいと思います。
「玲瓏」とは、玉などが透き通るように美しいさまを言います。
「ジユヱナル」は、古代ローマ時代の諷刺詩人デキムス・ユニウス・ユウェナリス(60-128)のことです。権力者から無償で与えられる食料と娯楽によってローマ市民が政治に無関心になっていることを「パンとサーカス」と表現しました。
「ラベレー」は、フランス・ルネサンスの作家フランソワ・ラブレー(1483?-1553)のことです。騎士道物語のパロディー『ガルガンチュワ物語』と『パンタグリュエル物語』では、古典の膨大な知識を散りばめ、ソルボンヌや教会など既成の権威を諷刺します。そのため両書は1543年に禁書目録に掲載されてしまいます。
「モリエール」は、フランス・ブルボン朝時代の劇作家ジャン=バティスト・ポクラン(1622-1673)のことで、彼はペンネームで「モリエール」という名を用いていました。鋭い諷刺を効かせた数多くの優れた喜劇を制作し、特に1665年の『ドン・ジュアン』や1673年の『病は気から』など、最初期から最晩年まで、古代の賢人たちの教えをひたすら守ろうとする守旧派の医者への批判、諷刺をおこないました。
「スヰフト」は、イングランド系アイルランド人の諷刺作家ジョナサン・スウィフト(1667-1745)のことです。1726年出版の代表作『ガリヴァー旅行記』は、未知なる不思議な国への旅を通じて、イングランド国教会とカトリック教徒の争い、イギリスの貴族性、科学における啓蒙主義運動などを諷刺しました。
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!