金沢 - Kanazawa
(投稿の最後に、今回写真で挿入したアドレスのリストを掲載しています)
11月下旬から本格的な降雪シーズン - 私が子どもの頃は、ほぼクリスマス辺りが初雪だったように記憶している - が始まるまでの2〜3週間、北陸は特殊な天候の時季に入る。
基本的にはほぼ荒天で、暗い曇りか寒い雨。それがみぞれに変わることもしばしばで、晴れることはまずない。お天気は変わりやすく、冬至前もあって一際暗い上に空はいつもゴロゴロ…ゴロゴロ…と弱い雷がずっと鳴り続けている。かと思えばドン、と大きく落雷することも。地元の人はこれを “雷おろし” (今回調べたところ、“雷おこし” “鰤起こし” とも言うらしい)と呼び、空がゴロゴロ鳴りだすと、本格的な降雪シーズンが間近に迫って来たことを実感する。
そして、まるで雪のような “雪虫” と呼ばれる虫がふわふわと飛ぶのもこの時節。子どもの頃、学校の帰り道に飛んでいる雪虫を、帽子を網のように使っては捕まえ、本当に雪のような、小さく消え入りそうなあの虫たちをじっと手のひらの中で観察したものだった。
子どもというのは気分を天気に左右されないものなのか、あの頃はあの天候をそんなものだと思って、午後4時には薄暗くなる勉強部屋で、“暗いなぁ” と思いながらも電気も点けずに机に向かっていたことを今でも覚えている。あの鉛色の空から悪魔が本当に出てくるんじゃないか、となまじ本気で考えながら。
郷里を離れてもう20年以上。すっかりお天気に気分を左右される大人になってしまい、けれど私はこの降雪前の特殊な北陸の天候にはどうも懐かしさを覚えてしまうようで、またそのうち “あの “雷おろし” の時季に帰りたい” と師走を迎える度に、ぼんやり妄想していたものだった。
もしかしたら、先週金沢を訪れた理由の一つはこれだったのかもしれない。
今回の主なミッションは約6年ぶりに会う叔父叔母と過ごすことだったが、二人と終始一緒だったこの二日間は、平たく言っても忘れられない思い出になった。
コロナを挟んで長いこと金沢を目的に訪れていなかったので、私の金沢アドレスはかなりの量になっていたものの、その偏ったリストに全て付き合ってくれ、写真にも嫌がらず応じてくれた叔父と叔母。そんな彼らと郷里の味を堪能し、そしてこの時節特有のあの天候さえも愉しみ、いつもなら億劫な雨も曇りも雷さえも、“これだ” とワクワクしながらその天候を慈しみ全身で体感して、私は師走の北陸と金沢を味わい尽くした。
郷里の伝統工芸を改めて知り、見返すこともまた今回の目的の一つでもあった。この伝統工芸が盛んな地域で生まれ育った私がごく最近になって、自分が伝統工芸に興味があるということにようやく気が付いたことは、よくよく考えれば、そもそもそれはDNAのなせる技だったと考えても不思議ではないかもしれない - それほど身近だった伝統工芸。40代後半になって、今さら - 否、「今だから」なのかもしれないが - 本質に立ち返ることがいかに重要なのかということを思い知り、また知らされた今回の旅。
叔父叔母とは再会を約束し、雨時々霙止まぬ金沢を後に、私は大満足の境地で帰京した。
東京の生活はすっかり長くなったけれど、最近は満足に方言も話せない似非の石川県出身者かもしれないけれど、やはり私のDNAの故郷はここだと再確認した師走の旅。おじちゃんおばちゃん、本当にありがとう。また遠からぬ将来、会えることを楽しみにしています。
金沢アドレス
※ 数字は挿入された写真の番号と連動しています。
(1)(13)金沢駅 東口 鼓門・もてなしドーム
金沢市木ノ新保町1-1
https://www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp/spot/detail_10050.html
(2)石川県立歴史博物館
金沢市出羽町3-1
https://www.ishikawa-rekihaku.jp/
(3)(4)国立工芸館(旧:東京国立近代美術館工芸館)
※ 2020年10月に東京より移転
金沢市出羽町3-2
https://www.momat.go.jp/cg/
(5)Kamu Kanazawa
金沢市広坂1-1-52
https://www.ka-mu.com/
(6)金沢城 お堀通り(尾山町側、伴天連屋敷跡付近)
(7)四知堂(スーチータン)Kanazawa
金沢市尾張町2-11-24
https://www.tua-kanazawa.jp/
(8)(9)金沢菓子木型美術館
金沢市大手町10-15
https://www.morihachi.co.jp/honten_museum
(10)石川四高記念館(石川四高記念文化交流館)
金沢市広坂2-2-5
http://www.pref.ishikawa.jp/shiko-kinbun/
(11)(12)石川県西田幾太郎記念哲学館
かほく市内日角 #1
http://www.nishidatetsugakukan.org/
※ 挿入されている写真及び画像はすべて筆者によるものです。また、施設等の情報は、当記事執筆時点(2022年12月)のものとなります。
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