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極厚なのに、お箸で切れるトンカツをつくってみた話。
フライもの好きな自分が、その王様と思うメニュー。それがとんかつ。
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好みでいうと、メンチカツのほうが好きかもしれない。チキンカツのほうが好きかもしれない。シーフードもカウントするなら、エビフライやイカフライ、アジフライのほうが好きかもしれません。
でもフライの王様は、と問われるとやっぱりとんかつと答えてしまいます。
🐽とんかつは王様
なんといっても、お肉1枚どどんと揚げる。このダイナミックさに、食べ応え。メンチやエビフライなら、丸ごとでてきてもお箸で切ったり、かじりついたりして食べられますが、とんかつはそうはいきません。
和食のお店、定食屋さん、そして専門店のとんかつ屋さんなら、あらかじめ切り分けて盛り付けてあるし、洋食屋さんでポークカツレツを頼むと、フォークとナイフが添えられます。
和でも洋でも人気、そしてごちそう。
🐽とんかつを丸ごと食べたい
そんなとんかつを丸ごと食べてみたい。この欲望は食いしん坊なら、誰もが一度は抱くもの。
その気持ちのままに、こんなこともやってみました。でも、このときもやっぱり食べるときは、切り分けて盛り付けでした。まるまる1本、どーんと塊のままのヒレカツにかじりつけたら、どんなによかったことでしょう。
ああ、とんかつをそのまま盛り付けて、それを食べることはできないのか。
いいえ、できます。お箸を用意してください。包丁もナイフとフォークも必要ありません。
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さくっ。お箸を衣に挿しいれて、そのまま下へ。ほら。とんかつが切れるじゃありませんか。
🥢お箸で切れるとんかつづくり
というわけで、今回はお箸で切れるやわらかとんかつづくりのお話です。
🔥豚肉ことこと2時間半
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用意するのは豚ブロック。これをさてどうするか。
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お鍋に水を張って、ねぎとしょうがをいれて沸かします。
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ブロックどどん。
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蓋をして煮ていきます。
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1時間30分煮込んだら、ここで蓋を外します。
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上下を返して、さらにこのままことこと1時間。水分が減って豚骨スープみたいになってきました。いい香りです。
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合計2時間半の煮込みでほら。竹串が抵抗なく、すっととおるやわらかさに。
もうわかりましたね。
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これを厚みを残してカットします。
🔥揚げるのも簡単
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とんかつ用に切り出したのは、真ん中の形の整ったところ。厚みはふつうにイメージする、ロースカツよりもうちょい厚めです。
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水溶き天ぷら粉、パン粉の順で衣をつけます。
うおおお、でかい、でかいぞ。あ、でかいじゃなくて、厚い、か。いずれにしても興奮します。
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お肉には火がとおってるので、揚げるときは高温で。衣さえしっかり揚がればOKです。
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途中で返して、両面きつね色に。
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豚肉って中まで火をとおすのに気を遣う素材ですが、このつくりかたなら安心ですね。
🐽これがとんかつ革命
しっかり油を切ったら、盛り付けです。
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付け合せはもちろん、たっぷりの千切りキャベツ。とんかつとくれば、これですよね。
好きなんですよ、キャベツ。
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ソースをかけて、からしを添えれば、これはもうまごうことなきフライの王様。誰がどう見てもとんかつです。
でもいつもと違うのは、切れてない。切れてないっすよ。だけど問題なし。はい、お箸を用意して。上から下へ。
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さくっ。これがとんかつ革命。
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おお、とんかつ。とんかつよ。なぜにあなたは、お箸で切れるの。誰がこんなとんかつをつくったの。
それはわたし、と食べながらいった。わたしがつくった、このとんかつ。
🐽違和感なくとんかつ、これはとんかつ
実際に食べてみると、とんかつとしてなんの違和感もありません。味は完璧にとんかつ。まあ、素材は豚肉なわけで、そして味付けにソースをかけたわけで。そこに衣の香ばしさが加われば、とんかつのとんかつたる条件はそろってますもんね。厚切りでも、お箸で切れても、これ、然りとんかつ。
逆にいうと、食べた感想としては、味の面ではふつうのとんかつと、それほど大きく違う点がないということでもあります。
でも、その厚みと、そして分厚すぎるというのに、お箸で切れるというそのギミック。これはけっこうおもしろい。おいしさだけではなく、食べて楽しい、そんなひと皿に仕上がりました。
🐽おまけ〜今回の副産物
ところで煮上がった豚肉の残りです。
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真ん中の形の整ったところをとんかつ用に切り出したので、残りはわりと不規則な小塊になりました。バットに並べてみると、なんとなくジオメトリック。
🔥冬だから角煮しよう
これも衣をつけて、ひと口ゴロゴロとんかつにしてもいいのですが、季節は冬。ならばあれだ。
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角煮にします。
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昆布を出汁にして、お砂糖、お醤油、みりんにお酒。ねぎとしょうがは、最初に下茹でしたときのものを再利用。
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なにしろ、とんかつがお箸で切れるほどに下茹でしてあるので、味さえ染みればできあがり。イチからつくるのと、トータルの手間は変わりませんが、なんだか得した気分です。
🐽お肉ほろほろ、脂ぷるぷる
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一度冷まして味を落ち着かせたら、食べるときに再加熱。
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お肉ほろほろ、脂ぷるぷる、超やわらか角煮の完成です。なんてったって2時間半の下茹で豚肉、とろけるような食べ心地に仕上がりました。
きょう、我が家で起きたとんかつ革命。おまけに寒いと嬉しい角煮までできて、一石二鳥の革命でした。
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