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#短編小説
《ピリカ文庫》桜知るウソ、僕の自転車
「ばあちゃん、僕、自転車乗れるようになったよ!」
「そうかい、あんたぁ頑張り屋やもんねぇ」
ばあちゃんは嬉しそうに微笑むと、うんうんと頷いた。
それが、ばあちゃんの笑顔を見た最後。
はっきり言って、僕には運動神経がない。
ボールを投げれば足元にバウンドして顔に激突するし、バッドを振れば、バットの方が空高く飛んでいく。
「運動の神様にまだ気づいてもらってないね」
母さんは、僕が学校で失敗してき
よもぎは花束になりたい
蓬田は、女の趣味が悪い。
うっすらと意識しているような、それでいて恋の対象とはまた違うような、とにかく蓬田という男子に惹かれていたのだが、蓬田は、どういうわけか、私が好きになって欲しくない女子が好きだ。
クラスには、男子がみな夢中になる女子がいた。
声色は高く、肌の色は色素が少し抜けているような透明感があって、それなのに、ケラケラとよく笑い、親しみやすさを醸し出している。
特段美人でもないのだ