マガジンのカバー画像

映画ラブ

108
素人の映画感想文的な何かです。
運営しているクリエイター

記事一覧

映画『ザ・メニュー』

映画『ザ・メニュー』

 日本人にとっては、英語の a と the の使い方が難しいと言われる。私が一番簡単だと思っているやり方は、a は「ある」に、the は「その」に置き換える方法だ。少し付け加えるとするなら、a は、特定の何かを指すのではない漠然としたものを指していて、the は特定の何かを指している。
 これでいくと、『ザ・メニュー』は、特定のメニューということになる。いったいどんなメニューなのか。それがこの映画

もっとみる
映画『ミッシング』

映画『ミッシング』

 公園で遊んだ帰りに突然死失踪した六歳の娘。警察は捜査を進めていると言うが手掛かりは無いまま月日だけが過ぎていく。次第に周囲の人々の関心は薄れ、捜索に協力してくれるボランティアや駅前で配るビラを手に取ってくれる人は減っていく。他の新しいニュースに埋もれ、事件は無かったことになりつつあるばかりか、ネットには娘の親や家族をバッシングする書き込みで埋められていく。

 この映画は、失踪した娘を追い続ける

もっとみる
映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』

映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』

 う~ん。というのが個人的な感想。
 先日観た一作目の『キングスマン: The Secret Service』が秀逸だっただけに過剰な期待を持っていたのが良くなかったせいもあるだろう。それはそれとしても、全体的にスポイルされてしまった感じを受けた。

 元々キングスマンは在イギリスの諜報機関だから、いかにもロンドンの下層階級と紳士の対比がキャラクター構成として面白かったのだが、本作ではアメリカが前

もっとみる
Netflix映画『レベル・リッジ』

Netflix映画『レベル・リッジ』

 何も悪いことをしていなくても、警察官の立つ交番の前を通り過ぎる時は普通の歩き方を忘れかける。私が意識し過ぎなのかも知れないが、警察の権力が強大であることの証だ。普通の会社であれば平社員には大した権力が無いが、警察官であれば例え任官したばかりのペーペーでも、市民に対しては
他の警察官と同等の権力を備えている。言われた方は言いがかりに思えたとしても、警察官が怪しいと判断した途端にあなたは犯罪者の端く

もっとみる
映画『キングスマン Kingsman: The Secret Service』

映画『キングスマン Kingsman: The Secret Service』

 この映画、2014年の作品だから今から10年も前になる。
 抜群のスパイ映画センスとウィットに富んだ小気味よいストーリーだ。弱者が強者を倒し、貧乏人が這い上がる。人は生まれた家柄で紳士になるんじゃない、学んで紳士になる。気高さは他人より優れた者にでなく、過去の自身より優れた者に宿る。そう、キングスマンは気高い紳士でなければならないのだ。そのためには何が必要なのか。何を目指すべきなのか。

 諜報

もっとみる
Netflix映画『ザ・ユニオン』

Netflix映画『ザ・ユニオン』

 アメリカ人は誰でも世界で活躍しているイメージがあるかも知れないが、当然ながら生まれ故郷から一歩も外に出たことが無い人だっている。この映画の主人公もそうだ。
 いつも通り仕事終わりに仲間とバーで飲んだくれていると、大学進学とともに姿をくらましていた高校時代の彼女が突然姿を現す。よりを戻しに来たのかと淡い期待を抱きながら、夜道をバイクを飛ばして思い出の公園に行く。あの時よく聞いた音楽を流せばあの時が

もっとみる
Netflix映画『クロス・ミッション』

Netflix映画『クロス・ミッション』

 取り立てて韓流好きというわけではないが、韓国映画は面白い。
 シリアスなドラマもドロドロしていて面白いが、軍や警察が絡むアクションものが良く出来ている。兵役があるからだろうか、俳優も武器の扱いに慣れている上に身のこなしがただの芝居のためのアクションとは違って見える。とことんリアルさが伝わってくるのだ。

 元アジア大会第二位の射撃の腕前を持つ腕利きの女性警察官と、彼女を妻に持つ主夫(保育園の送迎

もっとみる
WOWOWドラマ『シャイロックの子供たち』

WOWOWドラマ『シャイロックの子供たち』

 今でこそ落ち着いた感があるが、また池井戸潤かと思うほどに一世を風靡した時期があった。銀行やその融資先企業を舞台にしたストーリーは、普通の人にとって見知れぬ世界だからこそ興味深い。世間から見れば、銀行の奴らは金を転がすだけで儲けやがってと思うだけだが、金が絡む以上、その内幕は普通以上に人間臭い。

 金融機関に勤めるのなら、謝礼として金品を受け取ってはならない。しかし、目の前に札束の入った封筒を置

もっとみる
映画『ミニオンズ フィーバー』

映画『ミニオンズ フィーバー』

 子供の頃は、ちょっと悪いことをしてみたくなるものだ。子供の頃の悪い者への憧れは、大人のそれと違って純粋で、深い意味は無い。どちらかと言うと悪戯心に近いものだ。
 人様に迷惑を掛けてはいけません、人の物を盗むのは悪い人のすることです。悪いことをすると警察に捕まります。道徳的であることと、子供の悪戯は全く別次元のもの。社会に出ていない以上、社会の善悪とは無縁の世界に生きているのが子供なのだ。どんなに

もっとみる
映画『AIR/エア』

映画『AIR/エア』

 ナイキのバスケットシューズ、エアジョーダンの誕生秘話だ。
 今から40年前、ランニングシューズで世界を席巻したナイキは、バスケットシューズのシェアではコンバース、アディダスに大きく水を開けられていた。スタートアップから飛躍的に成長して大きな会社になっていたナイキはやや保守的になっていた。稼ぎ頭はランニングシューズだけで十分で、バスケットシューズの販売促進のために必要以上の大金を投じて選手と契約す

もっとみる
Netflixドラマ『地面師たち』

Netflixドラマ『地面師たち』

 人の土地を勝手に売って売却代金を懐に入れるのは、もちろん簡単ではない。簡単でないからこそ騙しがいがあるし、騙されやすいとも言える。まさかそんなはずが無いと思う買い手の油断の隙を突くのだ。架空の土地売買に絡んだ詐欺師を地面師と呼ぶらしい。地面師は独りで成し遂げるのは難しく、様々な専門家詐欺師のチームワークによって成立するという。

 これまでも逮捕歴がある地面師たち。ハリソンと呼ばれるリーダー格を

もっとみる
Netflix映画『レッド・ノーティス』

Netflix映画『レッド・ノーティス』

 FBI特別捜査官のジョン・ハートリーとインターポール捜査官のウルヴァシ・ダスのふたりが、国際手配(レッド・ノーティス)されている美術品泥棒ノーラン・ブースを追う。彼がエジプトに伝わるクレオパトラの秘宝とされる3つの卵のうちのひとつを盗み出すというタレコミが入った。
 そのタレコミの主は、世界一の美術品泥棒と言われているビショップによるものだった。

 世界を股にかけたアクションとコメディで楽しめ

もっとみる
映画『ドミノ』

映画『ドミノ』

 喉元まで出ているのに思い出せない時がある。でも、何か一つの出来事が切っ掛けになって、急にクリアに思い出せるようになることがある。まるでドミノ倒しの様に。

 この映画の主人公は、休日の公園でふと目を離した隙に目の前で幼い娘を怪しい男にさらわれてしまった刑事だ。その事件がトラウマになって、心理カウンセリングを受けている。3年経ったが、未だに娘は見つかっていない。
 そんなある日、最近続けて起きてい

もっとみる
映画『怪物の木こり』

映画『怪物の木こり』

 サスペンス・ホラーとでも呼ぶべきジャンルだろうか。
 時代を隔てたふたつの猟奇的な連続殺人事件が物語の中心にある。追う刑事たちと追われる犯人という構図は当然だが、もうひとつ中心に添えられているのが、タイトルにもある怪物の木こりという絵本だ。

 木こりの姿をして人間社会に溶け込んでいる怪物は、人知れず次々と人を喰っている。ムシャムシャ、ゴックン。絵本の物語を読み上げる子供の声とその内容のアンバラ

もっとみる