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ティコの推し事とファンレター

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ティコのティコによるティコのためのなんのはなしか分からない記事を集めた推し事マガジンです。推し事じゃない記事は全部ファンレターです。つまり全部推し事です。 基本推し事しかしてない…
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#創作

コニシ木の子の歩き方

コニシ木の子の歩き方

路地裏の歩き方、ではなく、コニシ木の子の歩き方、のはなし。

復活直前のこのつぶやき。

我ながら気持ち悪いなぁとは思ったものの、わたしは木の子推しを公言して憚らないので何ら恥じることはない。
オタクの推しに対する言動というのは、得てして気持ち悪いものだ。
そう、これは単なる推し事。
推しは推せるときに推せというのがわたしのポリシーであり、めぐみ家唯一の家訓でもある。

そしてこれから、さらにオタ

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【海賊版】初めてのギターが響かせたのは、淡い友情の算段

【海賊版】初めてのギターが響かせたのは、淡い友情の算段

本記事は本田すのうさん主催「下書き再生工場」企画にて本田すのうさんの手により再生された、コニシ木の子さんの下書き『初めてのギターが響かせたのは、淡い友情の算段』の海賊版です。

※長い。8500字あります。

――Panoramaの優勝、おめでとうございます。

「ありがとうございます。オケのみんなと、父の作ったスティールパンで勝ち取ったものです」

――二年ぶりに帰国されて、どんなことを感じまし

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Gの肖像※追記あり

Gの肖像※追記あり

「Gの肖像」。
そんな奇妙な名のつけられた銅板のレリーフが、街外れの美術館で行われている特別展にて展示されていると知ったのは、十一月も下旬にさしかかった頃のことだった。製作者はその道ではちょっと有名な銅版画家で、現代美術に多少なりとも興味のある者ならば彼女の名と作品を一度は観たことがある、といった具合だ。そんな人物の制作したレリーフである。珍しさも相まって、美術好きの界隈ではちょっとした話題にもな

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【海賊版】音楽が奏でる耳先生への階段

【海賊版】音楽が奏でる耳先生への階段

※本記事は本田すのうさん主催「下書き再生工場」企画にて青野晶さんの手により再生された、コニシ木の子さんの下書き『音楽が奏でる耳先生への階段』の海賊版です。

ずっと姉だと信じていた人間が実は母親で、両親だと信じていた人間が祖父母だった時の衝撃といったらなかった。これを上回る「衝撃の事実」に出会うことは、生涯ないだろうと思った。「衝撃」と表現する以外、何と言っていいのか分からない。この打撃の重さを、

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【海賊版】遠い日の不良に言えないはなしの前段

【海賊版】遠い日の不良に言えないはなしの前段

※本記事は本田すのうさん主催「下書き再生工場」企画にて三毛田さんの手により再生された、コニシ木の子さんの下書き『遠い日の不良に言えないはなしの前段』の海賊版です。

隔月刊とはいえ二つの雑誌に漫画の連載を抱えているので、基本的に休みなどはなく、過労死ラインって何ですか初めて聞きましたけど、状態で稼働している。

一方の雑誌の締切を間近に控えた十月の朝、莉花から久々に連絡があって、その主旨はまともな

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【海賊版】カリブを渡るリズムを刻む手段

【海賊版】カリブを渡るリズムを刻む手段

※本記事は本田すのうさん主催「下書き再生工場」企画にてマイトンさんの手により再生された、コニシ木の子さんの下書き『カリブを渡るリズムを刻む手段』の海賊版です。

着床したときの記憶があるっていうと、だいたい嘘つき扱いされるから大っぴらにはしてないんだけど、尾てい骨のあたりにはやっぱりママの子宮内膜にぎゅっと抱きしめられた感覚が残っている。

いつからそうしていたかはっきりとはしないまま、暗くて狭苦

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空と契る、或いは九月の桃

空と契る、或いは九月の桃

妻があまりにパイナップルや梨、りんごといった果物ばかり食べるので、わけを尋ねると

「子宮の内側を柔らかくしているの」

と言う。分からない、と正直に伝えるとさらにこう付け加えた。

「酢豚にパイナップルを入れるのは、お肉を柔らかくするためでしょう? 鶏むね肉をりんごや梨をすりおろしたのにつけておくと柔らかくなるのも、パインと同じでたんぱく質分解酵素のはたらき。だから、子宮を、ね」

妻の声は淡く

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【物語】2億年後のこどもたちへ

【物語】2億年後のこどもたちへ

これは君たちの母なる星の、そう遠くない未来の物語だ。
そう、2億年後……2億年なんて一瞬だろう?
昼寝している間に過ぎ去っていく程度の時間だ。
私が観測したことのほんの一部だが、君たちにも共有したい。
君たちには知る権利がある。
遠くない未来の地球がどのような有様なのか。
君たちの末裔がどのような存在であるのか。
君たちは、彼らにどのように認識されているのか。
それでは、見に行こう。

……見える

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裏・グレースと伝令者テオリア

裏・グレースと伝令者テオリア

今は昔。
ハイノンという国の北の果て、カドゥーホイの街に、グレースという女がいた。
貴婦人であろうと心がけていたが、近所の寺子屋に手伝いに行っている、先祖代々庶民という由緒正しき庶民の血筋の女であった。

グレースは寺子屋の仕事を愛していた。
子どもたちは素直でかわいらしく、新たな学びを得ることが嬉しくてたまらない、というようにあらゆることを吸収し、成長してゆく。
その様子を見ることが、グレースの

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