おもいつめるいろ【色見本帖】
夜見世の支度をしようと唐橋ねえさんの部屋に行くと、襖の見事な枝振りの梅を、季節外れの彼岸花の花弁が覆って格天井まで染め上げているのを見た。
ねえさんから迸った花弁。何も身につけていないねえさんは、三つ布団の上に倒れていた。まだ濡れて行燈にてらてらと光る左首の傷口を晒して。普段なら座敷にしか敷かない金襴緞子も紅を吸って、ぐしょり、という感じが触れずとも生々しく指先に伝わってくる。
ただでさえ白いねえさんの乳房は今や絹鼠色を帯びて天井を向き、二本の脚はいいかげんに投げ出されている