教育虐待と洗脳、自分を取り戻すことの重要性
教育とは、素晴らしいものだ。識字率の向上、数学などの理系知識、ITや会計などの専門知識。色々な知識が生きていくうえで役に立つ。主要五科目や大学の学部教育だけではない。音楽、美術、体育、家庭、すべて大切だ。
だが、それがいきすぎると、大変なことになることもある。
韓国ドラマ「SKYキャッスル」では、医学部に合格するために、教育虐待や洗脳に近いことが出てくる。ある男子生徒は、裕福な家に育ったが、教育虐待に苦しんでいた。そして、家のお手伝いの女性から、苦しいときに精神的に支えてもらった。そして、二人は恋におちた。しかし、両親は受験勉強を捨てて恋愛に走ること、そして何より家柄が低いその女性との恋愛を許さなかった。その男子生徒は、医学部に合格したのちに女性と駆け落ちし、母親に罵声をあびせかけた。母親は自殺した。教育虐待に対する復讐だったようだ。
これは、あくまでもドラマ、作り話だ。しかし、実際に日本で、教育虐待によって引き起こされた事件はある。
高偏差値の受験生が狂ってしまい、東大前で殺傷事件を起こした。他にもある。秋葉原の事件だ。加害者は、みるテレビ番組を制限されたり、椅子にくくりつけられるなどの教育虐待を受けていた。それなのに、勉強についていけなくなって落ちこぼれ、派遣社員(工場期間工)になった。その人生を恨んで、秋葉原の歩行者天国で殺傷に及んだ。
「絶対に医学部へ行け」「絶対に東大へ行け」「絶対にハーバード大学へ行け、それ以外の進路は許さない」これらは、洗脳だ。本人が自発的に、志望校へ行きたいならば、それは洗脳ではない。だが、親・教師・塾の先生など周囲の人間が束になって、「絶対に」などの言葉を使って志望校を決めるのは、洗脳だと思う。私も塾の講師としてアルバイトをしていたが、親が「絶対に慶應付属へ入れたい」などと言っている場合があった。私は講師という立場があるので、それを否定することはできなかった。だが、内心は葛藤があった。「お子さんは、本当にそれを望んでいるのか?」と。
私は、受験勉強に関しては洗脳や虐待はなかった。しかし、会社での洗脳があった。ある総合系コンサルティングファームでは、IT・会計・英語などのスキルで同期入社社員に順位をつけて、競争を煽った。「プロジェクトの成功のためには徹夜もしなくてはならない」と教わった。仕事ができない社員に対しては、罵声をあびせても良いような環境だった。その洗脳が解けるまでは、私は後輩や部下に似たような指導をしてしまった(自分がやられたほどには酷くなかったが、厳しい指導だった)。今では本気で後悔している。
※その会社の名誉のために書くが、今はそのようなパワハラは少なくなっているようだ。
アニメからの引用で申し訳ないが、ルパン三世 PART6で、大好きなセリフがある。実は、ルパン三世や多くの女性たちが洗脳されていた、というストーリーだ。それで、洗脳されて過ちをおかした女性に、ルパンはこう告げるのだ。
オウム真理教も、高橋まつりさんを死なせた電通の鬼十則やその他ブラック企業も、ナチスも、ある種の洗脳だ。赤木俊夫さんに公文書改竄をさせて死に至らしめた財務省もそうだ。名古屋入管でウィシュマさんを死なせた職員たちもそうかもしれない。
だが、やってしまった過去を変えることはできないのだ。過去を背負って、生きていくしかないのだ。リセットすることはできない。しかし、少しでも自分の人生を良くするために、未来のために、自分を取り戻して良き人間になることはできる。電通も、今は社内改革が行われているようだ。
気づいたら、そこからやり直せばいいのだ。未来を見据えて。自分のためにも、社会のためにも。自分を縛り付ける過去と決別すればいいのだ。