質問014:無心になってプレーするコツを教えて?
回答
▶無心に至るための「原理原則」がある
いわゆる「ゾーン」「フロー」でプレーするということになりますが、これは、すべてのアスリートが目指す究極の境地。
簡単ではありません。
ただし、無心に至る「原理原則」があります。
これを踏まえます。
▶「入りたい」と思わなければ「入る」
いきなり無心にはなれません。
無心になろうとして「ゾーンに入ろう!」「フローに入りたい!」と努力しても、原理原則を踏まえずにいると、いつまでたっても無心には至れないのです。
むしろ、そのように「意識」するのは逆効果。
「入ろう」「入りたい!」「でも入れない……」「なぜなんだ?」といった具合に、心は混乱するばかりです。
逆に言えば、無心の世界に入りたいと思わなければ、入れる道筋が見えてきます。
▶無心に入る「その前」に
では、その原理原則とは?
結論を言うと、無心に入るためには、その前段階として、「一心」を通過する必要があるのです。
つまり、ひとつの対象にキーンと鋭く集中していると、針が穴を開けるがごとく、無心の世界に入るのです。
そのひとつの対象に集中するというのが、テニスでは「ボール」。
ボールに一心していると、針が穴を開けるがごとく、無心の世界に入ります。
そのエントリーを何度も繰り返す経験を重ねると、無心=「ゾーン」「フロー」へ入りやすくなってきます。
一針を通しさえすれば、あとは流れ込む。
まさに「フロー」するのです。
▶意識は逸れる、どこまでも
ただし心はすぐに、ボールへの集中をやめてしまいます。
「インしてほしい」「ミスしたくない」「ミスしたらどうしよう」「相手に決められるのが怖い」「暑い」「寒い」などの思考へ、意識が逸れてしまうのです。
特に刺激が強い、ネガティブな思考へ、意識は逸れがちです。
それが証拠に、メディアのニュース等で取り上げられる話題も、人の心理を知ってか知らずか「刺激的なもの」が数多。
取り上げられやすいニュースといえば、事件事故、強盗殺人やパンデミック、有名人による不倫や、ドラッグなどのネガティブが過半数どころかほとんどではないでしょうか。
一般人の田中さんが、「お婆さんを背負って横断歩道を渡りました」などのほんわかとしたエピソードは、皆無とは言わないけれど、めったに取り上げられません。
それはまったく刺激的でないため、人々の耳目を集めないからなのです(けれども、そういったニュースを伝えるのも、有益だと思うのです)。
テニスも「またミスした」「次もミスするかも」「ミスしないようにテイクバックを……」などと意識は無限連鎖してどこまでも逸れていく傾向です。
▶ボールは田中さん以上に刺激的ではない
もちろん「田中さんの話」を持ち出したのには、理由があります。
実はここに、ボールに「一心」することの難しさがあるからです。
ボールというのは何の変哲もない、「ただの丸い物体」です。
まったく、刺激的ではありません。
ええ、田中さんがお婆さんをおんぶしたエピソード以上に、ボールそのものには、感動も興奮もありません。
▶意識は「猿心」。猿のごとく落ち着きがない
ですから私たちはつい、より刺激が強い、「インしてほしい」「ミスしたくない」「ミスしたらどうしよう」「相手に決められるのが怖い」「暑い」「寒い」などの、より刺激が強い思考へ意識をさまよわせてしまいます。
その結果、「三心」「四心」「五心」と気になる対象が移り変わり、「無心」どころではなくなってしまうのです。
その心のさまを、猿が木から木へ引っ切りなしに飛び移る様子にたとえて「猿心」などとも、専門用語では言われます。
専門用語が定められてあるくらいですから、誰しも逸れるものなのです。
▶集中トレは「過去問」に当たる
つけ加えて言えば「フォーム」「打ち方」などを意識すればするほど、無心から遠ざかります。
「テニスではボール」、と先述しました。
無心のスペシャリストである「禅」では、ひたすら「呼吸」に一心します。
具体的なトレーニング方法も、無心のスペシャリストであり、古来よりその智慧を伝えてきた「禅」に習うのが、「過去問に当たって先に答えを見る」がごとく学習の王道です。
呼吸(←まったく刺激的ではない対象)から意識が逸れてしまったら、「しまった!」「また考え事をしてしまった!」「どうしよう……」などど「考える」ことなく、一瞬でも速く、「呼吸」に一心し戻します。
逸れたら、戻す。
逸れたら、戻す。
逸れたら、戻す。
逸れたら、戻す。
逸れたら、戻す。
逸れたら、戻す。
逸れたら、戻す。
呼吸に集中しようとしても、「あれが心配」「不安だ」「ヒマ」「暑い」「寒い」「長すぎる」「いつ終わるんだ?」などの思考へ、心は猿のごとく引っ切りなしに飛び移るでしょう。
「明日は大事な会議があるんだ!」
「今は呼吸なんかに関わっている場合ではない!」
そのような荒々しい思考が生じたときこそ、「チャンス」。
思考が強烈であるほど、心には強い負荷がかかりますから、1回戻すことに成功したぶんだけ、集中力が強まります。
それが、一瞬でも速ければ速いほど、効く。
▶「ディープフロー」へいざなわれる
テニスも同じです。
ボールにキーンと一心していると、針が穴を開けるがごとく、無心に入ります。
そのエントリーを何度も繰り返す経験を重ねることで、針穴が大きくなり、ますます無心=「ゾーン」「フロー」へ入りやすくなってきます。
最初は日常生活の家事などでプチ集中する、ささやかなる「マイクロフロー」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
その小さな「マイクロフロー」へ入る経験を重ねるうちに、大きな「ディープフロー」へいざなわれます。
一針を通しさえすれば、あとは流れ込む。
まさに「フロー」するのです。
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(テニスゼロ)
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