質問008:ショットを安定させる筋トレは?
回答
▶ショットの安定は「タイミング」に尽きる
ショットを安定させるためのいちばんのポイントは、打球タイミングの精度です。
打球タイミングの精度を高めるためには、コート上を飛び交うボールがよく見えなければなりません。
そこでショットを安定させるために有効な筋トレを真っ先に挙げるとすると、「眼筋トレーニング」です。
いわゆる「フィジカルの筋トレ」については後述します。
▶テニスは「深さ」の見極めが難しくて重要
当然ですが眼も、筋肉の働きにより動いています。
ですからボールとの距離感を見極めるための「深視力トレーニング」。
テニスでいうボールの「深さ」を測る力を培います。
左右の距離感は、見た目でわかりやすいのです。
よく、「遠いボールを打たれたら大変」とは言うけれど、深さに関する距離感を見誤ると、どんなに手の届く体に近い範囲に打たれたボールも、打ち損じます。
テニスでは、深さの見極めが難しく、だから上手くプレーするには重要と言えます。
▶「深視力トレーニング」のやり方
近くの対象と遠くの対象に、素早く、交互に、目のピントを切り替えて合わせるようにします。
今すぐ試すならたとえば左右の人差し指を前後に並べて、目のピントが指紋に合うように、行ったり来たりを交互に繰り返します。
このとき、効果を拙速に求めたいあまり、速ければいいとばかりになおざりに、行ったり来たりしてしまわないようにします。
確実に目のピントを指紋に合わせてから、行き来を繰り返します。
素早い視線の動きでは目のピントが合いにくければ、公文式でステップダウン。
スピードをあえて緩めてから慣れていくようにすると、いったんレベルを落とした分だけ、その後バネのように伸び上がる飛躍があります。
▶鍛える筋肉を「意識しない」
あるいは眼球を左右に動かしたり、上下に動かしたり、ぐるりと右回転・左回転したりするのも、眼球を動かすための眼筋ストレッチにも、トレーニングにもなります。
この時の注意点としては、目を動かすことを「意識する」のではなく、右側なら右側に映る、左側なら左側に映る「対象物に目のピントを合わせる」結果として、眼筋が動くように働きかけることです。
いつも申し上げている「筋トレ理論」と同じです。
懸垂トレーニングなら、背筋の屈曲・伸展を意識するのではなく、「バーにアゴを近づける」といった具合に動かす先のターゲットを定めるのが、「使える筋肉」(後述する「見せる筋肉」ではなく)を身につけるコツです。
こちらでもお伝えしているとおり、寄り目をつくるなら「鼻を見よ」というわけです。
▶筋肉を意識する「筋トレ理論」は、競技に不向き
ボディビルのような筋トレでは、鍛える筋肉を「意識する」と言います。
それにより筋肉に「効かせる」わけですけれども、これは先述した「見せる筋肉」作りに限られます。
確かに鍛える筋肉を意識すると、効きます。
つまり、疲れるのです。
それはいつも申し上げているとおり、意識する動作が「不自然」だからです。
疲れる分、筋肥大には向きますけれども、競技スポーツには不向きなのです。
ですからやれば誰でもそうなりますが、腕立て伏せでも腹筋運動でもスクワットでも、意識するよりも意識しないほうが、動きを持続できたり、速くできたりします。
▶風間トオルの「すごみ」
トレーニングとは言えないかもしれませんけれども、私個人としては、「空をボーっと眺める」のも好きです。
大都会の東京にいても、最も身近、手軽に「自然を感じる」ことができる空。
あと俳優の風間トオルが、お金がなくて暇だから空を眺めていたせいか、「視力が高い」というエピソードも主観的に好みます。
そのおかげで、向かいの駅のホームの「時刻表」が読めたといいますから、人の体というのは、視力に限らず、遮るものがなければ、どこまでも伸びていける精緻なのだとすごみを感じます。
▶踏ん張れる「バランス支持力」
それからご質問にある「ショットの安定」という目的でいえば、一般的には「足腰」が挙げられるでしょう。
特に走らされたときに踏ん張ってバランスを支持できれば、ショットの安定性に寄与します。
そのためにパッと思いつくのはスクワットやランジ等で、体力レベルに応じてダンベルを持ちながらの屈伸運動などが、踏ん張り力を高めるうえで効果的かもしれません。
左右に走らされて踏ん張れるようにするなら、サイドランジなどサイド系の種目も適するかもしれません。
ただし重いウェイトを扱うと、筋肉がスローな動きを記憶してしまいかねません。
実戦向きに鍛えるなら、縄ばしごのラダーを地面に敷いて、左右へピョンピョンと横跳びしてまたぎながら前進するような「SAQトレーニング」を思いつきます。
▶筋肉が「妨げ」になるとき
鍛えた筋肉が、即テニスで使えるとは限りません。
筋肉は、車に例えればエンジンで、大きくすると出力できる馬力は高くなります。
だけどそれを乗りこなすのはドライバー。
人間でいう、脳、神経系統がいかにそのエンジンを操れるかが鍵です。
その点でも、重いウェイトを扱うよりも、実戦向きと紹介したトレーニングに分があると思います。
また筋肉はボディビルダーよろしく、見せるために肥大させればいいというわけではなく、テニスに適さない、不必要な筋肉をつけると、動きの「ジャマ」になったり、「重く」なったりして、かえって負担にもなります
▶ナダルのトレーニングも「補強」や「バランス」狙い
無駄に「デカい胸筋」などは、スイングする妨げにもなるという点は留意されたほうがいいかもしれません。
先のリンク先にもご紹介しているラファエル・ナダルの動画も、ラバーを扱う種目はあるにせよ、あとは自重やメディシンボールを使った軽めの負荷によるトレーニングに限られるようです。
懸垂なども、動きは小刻み。
出力を大きくするというよりは、「補強」や「バランス」の向上を狙っていると言えそうです。
▶止めてみる「枕木トレーニング」
あとは『新・ボールの見方』で取り上げました「枕木トレーニング」もさらっておきます。
電車に乗った際、ドアの窓際に立ちます。
電車が動き出すと高速で流れていく対向レールの枕木を見ます。
普通に見るだけだと「スーッと流れる見え方」になりますが、集中してみると「止まって見える瞬間」が、必ず垣間見れます。
必ずです。
動いて見える対象が止まるのだから、ボールも集中することで止まって見える現象を疑似体感できます。
視線をやや前方に置いて、チェック。
枕木が、止まっては流れ、止まっては流れるという見え方が連続します。
▶「プレー酔い」は「好転反応」
ただしこの「枕木トレーニング」、慣れないうちは、すぐ酔います。
しかしそれはまだ、脳が高速対応していない「伸びしろ」であって、トレーニングしだいで今後、飛躍する可能性を示唆しています。
テニスでもボールを適切に見られるようになると、初心者が「プレー酔い」するのはプラスの兆候です。
一時的に具合が悪くなってから、以前にも増して良くなる「好転反応」のようなもの。
逆に言えば「酔えない」でいるうちは、ボールが中心視野にとどまらず、背景に対して流れる見え方になっているから、ボールの見方が今はまだ適切ではないかもしれません。
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