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テニス上達メモ036.今までのやり方では、どうしても上手くいかなかった……。そんな人へ捧ぐ必須の逆転成功法則!


▶スピンのかけ方は知っている


私たちはもう、スイングに関する十分すぎるほどの知識、ノウハウを、持っているのではないでしょうか?
 
トップスピンを打つには、ラケットを下から上にスイングする。
 
打つ前にはボールよりも低い位置にラケットダウンをして、インパクトでボールをこすり上げ、高い位置へフィニッシュする。
 
そのときに、ラケット面が上を向いた状態で打ったらバックアウトするし、下を向いた状態で打ったらネットミスする。

垂直に近い状態のラケット面でインパクトすることが肝心……。

そんなことは、知っているのです。
 
耳にタコが、できているのです。
 
だけど、トップスピンが打てないのです
 

▶フェデラーやナダル以上の知識量


こと技術的アドバイスに関する知識量についていえば、おそらく我々は、ロジャー・フェデラー、あるいはラファエル・ナダル以上に豊富です。
 
ところがテニスの実力に関しては、フェデラーあるいはナダルの、足元にも及びません。

裏を返して言えば、打ち方や技術的アドバイスについて詳しく知ることは、テニスの上達と、ほとんど関係がない相関です。

知らないのではない。
 
もう十分知りすぎているのかもしれません。

▶「あまり知らないほうがよい」と言った人

 
「誤解ばかりしているより、あまり知らないほうがよい」と言ったのは、フランスの詩人、小説家、批評家であるアナトール・フランスでした。

私を含め、誤解をしている真っ只中にいると、「これは誤解だ」とは気づけない盲信こそ、誤解の怖さではないでしょうか?

「思い込み」や「バイアス」と、言い換えてもいいかもしれません。

「これはそうだ!」「そうに違いない!」と思い込んでいる最中は、それが「思い込み」だと、疑うことすらできない。

▶「疑う」どころか「信じてしまう」


「詐欺師」と、言い換えてもいいかもしれません。

電話口の相手は息子だと思い込む。

すなわち思い込みだと「疑う」どころか、詐欺師のほうを本当だと「信じている」のです。

天動説と地動説もそうでした。

天空の星々のほうが動いていると思い込んでいるさなかにあっては、まさか足元の地面が回っているとは、疑うことすらできなかったのです。

この「盲信」が、怖いのです。

▶ナイチンゲールは言った


思い込みを突破するには、イギリスの看護師、社会起業家、統計学者、看護教育学者であるフローレンス・ナイチンゲールの言葉が参考になるかもしれません。

「大多数の意見は、いつだって間違っている」(※注1)
 
だとすれば……。

大多数が「ピンチだ」と言えば、そこに「チャンス」はある

みんなが「絶好調」だと言えば、「危機感」を持ったほうがいい。

全員が「売りだ」と言えば、「買い」。

大勢が先に「得たい」と言うなら、まず「与える」

常識的なテニス指導が「フォームを正せばテニスは上達する」というのなら……

▶間違のいない「成功法則」


さてナイチンゲールの言葉はさておき、これは間違いのない成功法則だと思うのですけれども、今までのやり方で上手くいっていなかったのだとしたら、「逆」をやる発想は、必須です(※注2)。
 
前置きが長くなりましたが、ここからがタイトル回収となる「話の本番」です。
 
「逆」をやる発想が、必須。

たとえば今まで真面目にやってきたのに、上手くいかなかったのだとしたら、「不真面目にやる」、とか。

今まで頑張ってきたのに、仕事がしんどいのだとしたら、「頑張らない」、などですね。

今まで「いい人」として生きてきたのに、周囲から軽んじられてきたのだとしたら、「いい人を演じる自分をやめる」のです。

「ありのまま」に生きる

これが、自分に嘘をつかない、「自己肯定」にほかなりません。

▶「ノー」と言いたかったのでは?

 
演じてきたのだとしたら、本当は「ノー」と言いたいのに「イエス」と言って、自分に嘘をついてきた自己否定にさいなまれていたはずです。

ところが多くの人が、今までのやり方で上手くいかなかった場合、今までのやり方のまま、もっと真面目に、もっと頑張って、もっといい人を装い、成果を上げようとしがちです。

だけど、ナイチンゲールはこう言ったのでしたね。

「大多数の意見は、いつだって間違っている」

▶今のままではますます「遠ざかる」 


今までのやり方のまま、もっと頑張れば、もっと上手く「いかなくなる」のは目に見えています。
 
そうでしょう?

沖縄へ行くのに、もっと頑張って北海道に向かえば、ますます遠ざかるのは当然です。

頑張って、我慢して、疲弊した挙げ句、絶望&絶命しかねません。

だから、今までやってきたのとは「逆」をやるのです。

絶望&絶命しないために。
 

▶失敗学の本質


逆をやるとは、言い換えれば、「失敗から学ぶ」のです。

今までのやり方は失敗だったと学び、間違いだった今までのやり方を手放して成功に近づくのが、「失敗学の本質」ではないでしょうか。

「こうすれば上手くいくんじゃないかな?」という思い込みがあったから、今までそのやり方を採用してきました。

だけどそのやり方では、上手くいかなかった。

今までは、押して押して押しまくっていたのかも知れません。

それでは、扉は開かなかった。

だけど逆に引いてみたら、あっけなくドーンと開いた。

いにしえより伝わる「押してダメなら引いてみる」の教えのとおりです。

上手くいっていない何かがあれば、そのつど「逆かも?」と疑うことを習慣にする。
 

▶フォーム指導は「詐欺」ではないか?


改めてテニス指導の話に戻しますと、「フォームを正せばテニスは上達する」というのなら、それこそ「誤解」を怖れずに言えば「これは詐欺師の手口ではないか?」と、疑ってみる

逆をやる。

フォームを「意識しない」から、上手くいきます。

まずは、「思い込み」を捨てましょう

▶注釈まとめ・私たちは「流れている」から傷もきれいに治る


※注1.意見について
初期仏教では、「意見」には「主観」が入るから、ナイチンゲールが言う「大多数の意見」という以上に「すべての意見」が邪見だと、より厳しく見なします。
 
意見に対するものとして「事実」があります。

たとえば「地球は丸い」というのは、個人的な「意見」ではなくて、客観的な「事実」と捉えます。

一方「地球はきれい」というのは、見る人によって感想が変わるので、「意見」と言えます。

そして意見はその人の主張だから、押しつけると争いのもとにもなりかねないので、「邪見」として戒められます
 
※注2.あべこべ感覚について
あべこべ感覚について、専門用語として与えられた言葉が「顛倒(てんどう)」です。

大多数の人は「自分という個体がある」と思い込みがちだけど、その感覚が「あべこべ」だというのです。
 
私たちの体は数日前にトンカツを食べたら、自分はブタと分子を入れ替えただけの一時的で流動的な「液体」みたいなもの

だからこそ、生きていけます。
 
「液体」みたいなものだから傷や怪我も、やがて流れて、きれいに治るのですから

そう、私たちは「モーニング娘。」なのです

「自分という個体」はなくて、この肉体も、思考も、感情も、感覚も、みんな流れ流れて、どんどんどんどん入れ替わる諸行無常。


即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero