質問1558:周りに変な癖が付いている人がたくさんいる
回答
▶テニスゼロが「絶対に正しい」わけではない
私がお伝えしている内容が、テニスが上達するうえで「絶対に正しい」というわけではない前提でお読みください(関連記事「テニス自己肯定感の高め方」)。
研究してきた成果を、私の知る限りの範囲内で発表しています。
思い込みにすぎないかもしれません。
後述しますが、自分が「思い込んでいる」とすら気づけないのが、思い込みの本質。
世界的科学誌『ネイチャー』『サイエンス』でさえ、10年経てば9割が嘘と言われます(関連記事「『ネイチャー』ですら信用できない」)。
しかしどの研究者も、まさかはじめから嘘を伝えようとしていたわけではない。
嘘というのは「人を騙す」というより、仏教の五戒「不妄語(ふもうご)」が定める「事実に反する」という意味において。
私は未だに、STAP細胞はあったんじゃないかと期待しています。
テニスゼロが「絶対に正しい」わけではありません。。
とはいえいただくレビューを参照すると、テニスゼロで効果があったプレーヤーもなかにはいたようなのです(関連ページ「テニスゼロカスタマーレビュー」)。
もちろん、上記リンクは実際にいただいた感想であり、ヤラセや作りではありません(と、マスコミが但し書きするヤラセや作り記事もありますが(関連記事「『みんなやってる』みんなって、だれ?」) 。
なかにはお伝えいただかないだけで、テニスゼロでは効果のなかったプレーヤーもいたでしょう(もちろん、ご報告いただかないだけで効果のあったプレーヤーがいらっしゃったなら、なおさら幸いですけれども)。
そんな前提を踏まえて、この先をお読みいただければと思います。
▶「ボール集中だけで上級者になるのは何人」につきまして
ボール集中だけで上級者になるのは何人か、人数は把握しておりませんけれども、仮にボール集中で上手くいかない場合は、ボールに集中しようと「意識している」人が少なくないと思います。
でもそれは、集中ではありません。
こちらで申し上げた禅問答です。
あるいはそれよりも先に「現実に対するイメージのズレ」があると疑われます(関連記事「あなたのテニスボールに関するイメージは?」)。
こちらのほうがテニスの上達を叶えるうえで問題になります。
現実と戦っても、絶対に勝ち目はありません。
「現実に対するイメージのズレ」があると、どんなにボールに集中しても、打球タイミングは、合わないものは合わないのです。
そして大抵の人は「そんなもの自分にはない!」と思い込んでいるのですけれども、スピードと距離の閾値を超えない余裕で追いつく簡単なボールなのになぜかミスしてしまうというならば、やっばり大抵の人に、それが「ある」。
自分が「思い込んでいる」とすら気づけないのが、思い込みの本質です(関連記事「『フォーム』は原因ではない」)
▶「フォームに関するアドバイス」につきまして
上級者の方々が、フォームについてアドバイスしてくれます。
それで、ご自身が上達したかどうかを、ご自身の心身を実験台にして確かめるのが「間違いのないテニス上達法」です。
では逆に、試合中に上級者の方々が、アドバイスしてくださるその内容について、ご自身たちも意識しながらプレーしているのかも、尋ねてみてください。
たとえばよく聴くのが、「テイクバックをコンパクトにする」「ひざを曲げる」「横を向く」「左手をかざしてボールとの距離感を測る」「最後まで振り切る」……etc.
他の人にはアドバイスするとしても、自分がプレーするときにもそうしているか否か。
リバースフォアハンドは、意識して「そうしている」のでしょうか。
無意識的に「そうなった」のかもしれない。
つまり、それらは状況しだいではないでしょうか(関連記事「原因と結果の法則」)。
https://www.youtube.com/watch?v=B97RcXWeENY
いつも同じ形(フォーム)を作ろうとすると、オープンスキル競技のテニスで肝心な「対応力」を、むしろ損ないはしませんか?(関連記事「テニスはオープンスキル系の競技」) 。
こちらの方は実際にプロ級の方に訪ねてみて、確かめてみたそうです。
とはいえユーチューブなどでは、プロ級ではなくプロが、フォームを矯正するように指導されているレッスン動画も散見されます。
そんな中、私は下のターンは穿った「本音」ではないかと目します。
「グリップはこだわらない」
「あんまり難しいことは普段考えない」
「あんまり考えるとダメになっちゃうタイプ」
「本当に意識していない……」など清水悠太プロのコメントが参考になると思います。
▶「意識」につきまして
最初は意識しながらプレーしていて、上手くなってから頻度が減って無意識でできるようになると考えがちです。
とはいえそうすると、意識しながらプレーする癖がついてしまうので上手くならない例は、現実として周りを見渡せば枚挙にいとまがないのではないでしょうか。
英語教育で、文法を意識すると英会話(実用的)になりにくいのに似ています。
日本に来て働きながら学ぶ外国人留学生による、多少ブロークンで個性的な日本語の話し方でも、文法を意識して英語を話せない日本人よりも、よほど実用的だと思うのです(関連記事「テニスゼロは「『実用性重視』」)。
意識すると、呼吸ですら、無意識で行っていたときよりもギクシャクして息苦しくなります(関連記事「『素早く動こう』と意識すると遅くなる」)。
意識しないのが最も滑らか、自然体。
今すぐ、実際に体験してお確かめいただけると思います。
知識を得るのではなく体験すると身につくのは、英会話もテニスも同じでしょう。
▶「変な癖」につきまして
ボールに集中しておらず上手く打てないプレーヤーは、打球タイミングが合わないから、仰せの「変な癖」に映る場合は確かにあります。
でも、人と多少違うフォームであってもタイミングよく打てている場合は、それが「個性的」と言われます。
同じ人間が同じ道具を使って同じルールのもとプレーしますから、一定傾向のフォームは現れますけれども、同じフォームの選手は2人といません。
あえて似ている例を挙げるとすれば、私の知る限りロジャー・フェデラーと(ベビー・フェデラーと言われた)グリゴール・ディミトロフの2人くらい。
https://www.youtube.com/watch?v=-XNwkgtFenA&t=54s
ほかは、ラファエル・ナダルもアンディ・マリーも錦織圭も、さらには過去を遡ってみてもステファン・エドバーグもボリス・ベッカーもジョン・マッケンローもジミー・コナーズも、みんなそれそれ「独自のフォーム」で打っているから個性的です。
つまりどんなに突き詰めても、フォームに「正解はない」のではないでしょうか?
だとしたら、意識して逆立ちしながら打つなどしない限り、「間違いもない」のかもしれません(関連記事「では、『逆立ち』しながら打ってもいいのか?」)。
棒立ちで打つマッケンローのローボレー。
「変な癖」とは、誰も言いませんよね。
https://youtu.be/Gh3JdIIZwK4
今はストレートアームの選手が多いとはいえ、元世界1位のジム・クーリエは深くひじを曲げていたし、バックハンドはまるで野球の「バッティング」とたとえられました(関連記事「みんなちがって、みんないい」)。
https://youtu.be/7g0ACRWTE2c
そのクーリエのライバルであり、ピストルショットと恐れられたピート・サンプラスと似たフォームの選手を挙げることは、できるでしょうか?
そもそも、左右の両ひじが背中側で付く柔軟性あってのプロネーションですから、フォロースルーの「形(フォーム)」だけ見て真似するのも無理があるように思います。
https://youtu.be/eAjv9p5VTx8
あるいは男女を通じて四大大会と、4年に一度のオリンピック金メダルをすべて同じ年に獲得した、史上唯一の年間ゴールデンスラム達成者であるシュテフィ・グラフのフォアハンドストロークは、一般的に「わきを閉めて」と注意される指導とは齟齬があるかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=iS0t93e-iNU&t=26s
リンクが多すぎて冗長になっていますけれども(以下同)、ほかにもこちらではさまざまな違い(個性)についてご紹介しています。
▶「伊藤あおい選手」の例
木下グループジャパンオープンテニスで注目を集めた伊藤あおい選手は、さんざん「ひざを曲げろ」と指導されてきたそうですけれども、「気が向いたら」といってそれらアドバイスをスルー(関連記事「『伊藤あおい選手』が私たちに与えてくれる希望!」)。
コートから出て行けとコーチに叱られたら(普通はシュンと畏まって出ていかないけど)、本当に出て行ってクラブハウスでマンガを読んでいたというから「本物の素直」です。
ノーグリップ・ノーフォームを唱えるコーチでさえ、「サーブだけはコンチネンタルグリップ」を訴求しますが、伊藤選手はサーブもスマッシュも常識的なテニス指導とは異なり厚め(イースタンからセミウエスタンくらい)。
いわゆる模範的とされるフォームに矯正していたら、今のような彼女らしいテニスと上達の2軸は、実現しなかったのではないかと思います。
型(フォーム)にはめるか、個性を伸ばすか。
▶「上級者になるさまざまな道のり」につきまして
フォームは人それそれだけど、打球タイミングが合わずにミスが多いプレーヤーの場合に、「変な癖」に映るのだと思います。
そして打球タイミングが合わない理由はフォームを意識するケースが多いからだと『テニス上達のヒント』は伝えています(それ以前に先述しました「現実に対するイメージのズレ」も疑われます)。
見方を変えれば、違う道具を使う車いすテニスのプレーヤーは、チェアワークなどプラスアルファのテクニックを駆使したりするから、非利き手をかざしてボールとの距離感を測ったりしません。
ではどうやって距離感を測っているのかといえば、フォームを意識せずボールに集中しているのです。
こちらでも述べましたが、サーブを打つノバク・ジョコビッチのトロフィーポーズのフォームは、「見方によっては間違い」らしいのですけれども、史上最強のプレーヤー。
上級者になる道のりはさまざまでしょうけれども、それ以上に上級者になれない「回り道」が多すぎる気がします。
▶「テニススクールやコーチの重要性」につきまして
前にもお伝えしたとおり、テニススクールやコーチの役割は重要です。
行けば練習相手がいる、予約しなくてもコートがある、ボールも用意されている、コーチは球出しをしてくれるしラリーにも付き合ってくれる。
月謝は仮に割高だとしても、人件費や設備維持費、広告宣伝費、通信費などが必要なので、致し方なし(関連記事「スクールが割高なのは『致し方なし』」)
こちらで述べているりんご農家ではありませんけれども、自分でりんごを作ろうとすると、土地や肥料の手配から、受粉などの知識、管理も大変。
それらを全部自分でやる手間暇を踏まえますと、物価高が叫ばれる昨今とはいえ、1個数百円で食べれるのはむしろありがたいと思います。
これは、『きみのお金は誰のため』の著者である田内学さんの『他作』からパスティーシュさせていただいたフレーズですけれども、「りんごの向こうに人がいる」。
テニススクールやコーチも、何を求めるかでしょうけれども、人により依然重要なのは間違いありません。
▶「テニスゼロの内容」につきまして
どういう内容に興味を持つかは、同じ人でも時と場合によって違うのではないでしょうか。
同じ本でも、前に読んだ時にはあまりピンとこなかったけれど、生きる悩みが深い今、読み返すと、心がグイグイ引き寄せられるという内容もあるかと思います。
このたびご質問いただきましたのは、恐らくフォーム矯正のテニス指導に何らかの悩みを感じ、テニスゼロの内容が、心に引っかかったからだと拝察します。
一方、プレー中にフォームを意識していないテニス上級者ほど、テニスゼロには「ピンとこない」でしょう。
「当たり前すぎる内容」だからだと思うのです。
逆にそういうテニス上級者ほど、今まで関心のなかったフォームの情報に触れると、ユーチューブなどでレッスン動画を配信したくなるのかもしれません。
現役時代は自分の握っている「グリップ名」すら知らなかったから、そういう知識が新鮮に感じられて、伝えたくなるのだと思います(関連記事「おまけ・※注1について。プロは『グリップ名』など知らない」)
それが「間違い」というわけでもないでしょうし、テニスゼロが「正解」でもありません。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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