中学入試頻出読解力が身につくおすすめの本をご紹介!『小さな町の風景』――本をめぐる旅への誘い
今回は、リテラの子どもたちが小学6年生の春から始める取り組み始める『小さな町の風景』という児童書をご紹介します。
この記事を書いた人
リテラでは、6年生の夏休み以降、志望校の過去問題に取り組む前に、必ず『小さな町の風景』を使った要約のレッスンで読解力に磨きをかけていきます。
方法としては、見開き2ページ程度の短い物語を読んで200文字に要約をするというシンプルなものですが、その一本の要約を書き上げるために、1時間半~3時間という長い時間をかけてじっくり取り組んでいきます。
そして、この課題に取り組んだ生徒さんたちからは、
「こんな深い読み方をこれまでしたことがなかった」
「物語ってこんなに面白いんだ」
「自分でも物語を書いてみたくなった」
など、本を好きになったという感想や、
読解問題で一番難しい「登場人物の気持ちを書きなさい」「作者が伝えたかったことを〇〇文字でまとめなさい」といった問題が解けるようになった!と成長した姿を報告してくれます。
今回の記事を読んだ保護者様やお子様が、まずは『小さな町の風景』を読んでみたい思っていただければ幸いです。
『小さな町の風景』とは
『小さな町の風景』(偕成社)には、45話の物語と小品が、「坂のある風景」から「海のある風景」までの8章に収められています。
作品の舞台となる新潟県高田市は、雪深い山と日本海に囲まれた城下町です。
そして、物語には、この町に暮らす杉みき子さんの思い出の風景と共に、少年少女や、その成長を見守る鳥や樹木、さらには風見鶏や電柱、火のみやぐらといった町の様々なものたちが登場します。
特に、検定教科書に採用された「あの坂をのぼれば、海がみえる(坂のある風景)」は ご存じの方も多いとも思います。その他、多くの作品が中学入学試験で毎年のように出題されています。
なぜ『小さな町の風景』中学入試頻出作品なのか?
頻出される理由は大きく2つあります。
1つ目は、文章をとおして風景をイメージする力=想像力がどのぐらい備わっているのかを確かめることができるからです。
2つ目は、風景に描かれている「象徴」と物語を結び付けてテーマを読み取る高度な読解力を有しているかどうか確かめる問題が作りやすいからです。
だからこそ、中学受験を目指すお子様には、ぜひ、読んでもらいたい一冊ですし、さらに、読解力を身に着けるために一つ一つの物語を200字で要約する練習にチェレンジしてもらえらば嬉しいです。
物語の舞台 新潟県高田市とはどんなところ?
子どもたちに、『小さな町の風景』舞台となった、新潟県高田市(現、上越市)を見せてあげたい。本当に町があり、人々が暮らしていること、そして、物語を読んだ子どもたちを励ましてくれた風景があることを伝えたい。そんな思いを胸に、物語に描かれた風景をもとめて旅をしてきました。
豪雪地帯として有名な高田の町には、今でも民家の軒先に雁木(がんぎ)という、家々が軒先の庇をつなげて作ったアーケードが残っています。
そうした雪深い町の中に、物語に登場する大木や橋、風見鶏が何気なく存在いています。もしも、『小さな町の風景』を読んでいなければ、それらが目に止まることはなかったでしょう。
何の変哲もない場所が、そこにまつわる物語を聞いた時から、特別な場所に思えてきます。小さな町の風景に思いを馳せ、物語を深く味わうという貴重な体験ができたのは、本をめぐる旅に誘ってくれた、杉みき子さんの物語のお陰です。
物語の風景をもとめて
『小さな町の風景』の物語に登場する場所をご紹介します。
塔のある風景『風見鶏の見たもの』
~夕日に輝く海。それは、未知の世界へのあこがれ~
あらすじ
町には三羽の風見鶏がいた。
ひとつは、銀行の三角塔のてっぺんで、風のまにまにまわりながら町の様子を眺める銀色の風見鶏。
もう一つは、光を浴びて輝こうと、一日中太陽を追っかける写真館の金色の風見鶏。
そして、最後は一日中動くことなく、西の方角をじっと見つめるレストラ ンの木の風見鶏だ。
レストランの風見鶏が何を見つめているのか気になっていた銀行と写真館 の風見鶏は、ある日の夕暮れ、遂にその正体をみつける。
それは、沈む夕日ともに宝石のような青い輝きをはなっている海だったのだ。
写真館の風見鶏
「小熊写真館」は、物語に書かれた通り、童話に出てくるお城のような建物です。
「杉みき子さんも買い物の時、お店の前の通り歩いているよ」と、気さくなお店の人が教えてくれました。
橋のある風景『よろこびの橋』
~たくさんの夢を思い描く、幸せな少女時代~
あらすじ
町のはしっこにある小川には『歓喜橋』という小さな赤い橋がかかっていた。
幼い少女は、「歓喜」とは喜ぶという意味だと教わると、この橋はよろこんでいる人しか渡ってはいけない橋なのだと勘違いをしてしまう。
そして、長い間、橋を渡れず悔しい思いをしていたが、願いは突然叶えられることとなる。
ある秋の日、友だちの家にあそびに行く途中、きんもくせいの香りに包まれた少女はすっかり嬉しくなり、その気持が消えぬ前に、『歓喜橋』へとかけだし、そのまま一気に渡りきってしまった。
溢れんばかりの喜びの中、少女は、不思議なことに気が付く。
「よろこびの橋というのは、よろこぶ人が渡る橋じゃなくて、渡った人がよろこぶんじゃないかしら。」
そして、「よろこびの橋」は、少女にとって渡るびに穏やかな喜びが込み上げてくる特別な橋となった。
歓喜橋
小川には何本のもの小さな橋がかかっていますが、赤く立派なものはこの歓喜橋だけです。
名前は近くのお寺に由来しているそうです。
そして、この橋からは、写真館の風見鶏が見えます。
一冊丸ごと読む醍醐味を味わってほしい
教室では小学校中学年から、良質な読書経験のできる本として『小さな町の風景』をすすめています。
自然に囲まれた町の中で、様々な生命に見守られながら大きく成長していく子どもたちが描かれた本書は、長くにわたり親しまれてきました。
また、課題図書として紹介されたり、小学校の国語の教科書や、私立中学校入試問題として採用されるなど、高く評価されています。
しかし、多くは『小さな町の風景』の中の一作品のみの掲載のため、それ以外の作品に触れる機会はなかったという方が大勢いらっしゃると思います。
一作品ごとでも十分に良さを味わえますが、『小さな町の風景の』本当の面白さは、一冊を通して読んでこそ味わえるものなのです。
本書を読み進めていくにつれて、一見バラバラにみえる作品同士が実は、幾つものつながりを持っていることに気づきます。
例えば、『あの坂をのぼれば』で少年を海に導いたかもめが、『ふたたびかもめ』では、力強く羽ばたく姿で少年に生きる力を与える役目として登場します。
このように、たくさんの発見をしながら一冊を読み終わった時、作品同士の響き合いとともに物語全体のテーマを味わうことができます。
『小さな町の風景』を読んだ子どもたちの多くが、読書そのものが好きになっていきます。
それは、単純に出来事の新奇さを楽しむだけのこれまでの読書とはひと味ちがう、物語の深い世界観に導いてくれる読書の経験ができたからでしょう。
まとめ 本をめぐる旅のすゝめ
今回、物語の舞台を訪ねてきたという話は、教室の子どもたちに新しい刺激を与えることとなりました。
教室では「小さな町にいってみたい!」「杉みき子さんのお話を聞きたい!」と、どの子も目を輝かせています。
既に本を読み終わった生徒も、「もう一度読みたい!」と、興奮気味に本をひらいていました。
きっと、一度目に読んときのことを思い出しながら、さらに新しい色鮮やかな景色を楽しんでいた様子です。
読む度に、新しい発見、新しい風景が見えてくるこの物語は、たくさんの人とその風景について繰り返し語り合うことで、より深く味わうことができます。
是非、ご家庭でも子どもたちと一緒に『小さな町の風景』読んで語り合ってみてください。
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