【俵万智の一首一会 14】戻れない時間を生きる
われというひっくり返せぬ砂時計きょうはピンクのセーターを着る 清水あかね
清水あかねさんとの出会いは、三十数年前。お茶の水女子大学の教授が、学生たちに短歌の話をしてほしいと声をかけてくれた。『サラダ記念日』を出版する前のことで、妹のような女子学生たちに語りかけ、興味があるなら一緒に勉強しましょうと誘った。そうして、二人の学生が、私の所属する「心の花」に入会して作歌を続けることになった。一人は安藤美保さん、もう一人が清水あかねさんである。
やわらかきポプラの葉かげに再会し