静かな青い空
静かな青い空が
どこまでも
遠くへ広がっていく
幼い僕は
デパートの屋上で
空を見上げるのが
好きだった
あの空は
まだこの胸に広がっていて
どうしてあんなにも
吸い込まれそうになるくらいに
青いんだろう
──天国に一番近い色──
不意にそう思ったことがあった
死にたいわけではなかったが
非日常的なあの青が
どこか遠くへ
僕を連れて行った
たった一人の屋上で
静かな青のパノラマが
僕だけのために
広がっている
寂しいやら
人に合わせるやら
何もかも忘れて
青に染まる
それだけで良かった
いつまでも
そこにいたかったけど
母さんが呼ぶ声がして
僕は屋上を後にした