![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/131133003/rectangle_large_type_2_285197c229de7539d9447dcd388d75ae.jpeg?width=1200)
「身だしなみ自由化」が救う未来
column vol.1139
小売業の大きな課題の1つが「人財不足」。
それは、それは切実なものがあります…
一方、課題解決に向けてキラリと光る取り組みも増えています。
その1つが接客スタッフの「身だしなみ自由化」です。
〈読売新聞オンライン / 2024年2月10日〉
接客スタッフといえば、これまで「茶髪禁止」「ピアス禁止」など、身だしなみに関する厳しいルール(制限)があることが一般的でした。
実際、マイナビが昨年実施した「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2023年5-6月)」でも、
61.9%が「現在の職場で決まりが設けられている」
と回答。
制限を緩和しない理由を聞いたところ
「お客さんに不快感を与えてしまう・印象が悪い」…54.0%
「清潔感や衛生面」…45.5%
などといった意見があり、未だ業界全体としては慎重な姿勢が大勢。
それでも、緩和する企業においては、多くのポジティブな結果が見られるのです。
パイオニアが示すメリット
自由化のパイオニアといえば、スターバックスコーヒーです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2023年11月27日〉
21年にドレスコードを改訂。
特に注目なのが髪色の自由化で、以前は制限があったものの、改訂により何色でもOKとなったのです。
ドレスコードを自由化したことで、どのような変化があったのか?
そこで昨年、社内のスタッフを対象にした「実態調査」を実施。
まず、「 ドレスコード改定後に、少しでも髪色を変えたパートナーはいましたか?」という問いには
約97%の店舗が「はい」
と回答。
「ドレスコード改定後、店舗パートナーがスターバックスで働きたいと思うきっかけになったと感じましたか?」という問いでは
ストアマネージャーの約66%が「そう思う」
と答えています。
【理由】
●髪色が自由になったため応募したと言われた
●入社後の面談時に見た目ではなく自分らしさを受け入れてもらえるように感じたとポジティブな意見があった
など
ちなみに、先ほどのマイナビの調査でも、職場の服装や身だしなみの自由化に対する賛否を聞いたところ
●どちらかというと賛成…50.5%
●賛成…33.7%
となり、賛成派が8割を超えています。
![](https://assets.st-note.com/img/1708144676703-3y5GTYSG38.jpg?width=1200)
さらには、「服装・身だしなみの自由化により仕事探しや働く意識に影響があるか」という問いには
●仕事探し時に、応募意欲が上がると思う…55.7%
●長く働きたいと思う…57.5%
という結果に。
まさに今回テーマとなっている「身だしなみ自由化=人財難の解消」につながりますね😊
自由化=モチベーションアップ
それからもう1つ重要なのが、身だしなみ自由化により、モチベーション&パフォーマスがアップするということでしょう。
マイナビ調査の別の設問で「自由化に賛成の理由」を聞いたところ
●自分らしく働けるため…58.0%で
●前向きな気持ちで仕事ができるため…37.2%
●慣れている格好だと仕事の能率が上がるため…36.2%
●発想が柔軟になり、企画などのアイディアを出しやすくなるため…18.3%
ということが明らかになっております。
![](https://assets.st-note.com/img/1708145141115-1K6KQ0HK5X.jpg?width=1200)
それに、「従業員同士の会話のきっかけになるため」とありますが、スターバックスでも同様の声が挙がっています。
「ドレスコード改定後、パートナー同士のコミュニケーションが増えたと感じますか?」
→約72%が「増えたと実感する」と回答
【スタッフの声】
●働いている中で、会話のきっかけとなり、より相手を知る1つのツールとなっている
●褒め合うコミュニケーションも生まれるし、認め合うコミュニケーションが活発になった
など
さらにスタバでは、お客さんとのコミュニケーションのきっかけになるという声もあったのです。
「ドレスコード改定後、お客さまとのコミュニケーションが増えたと感じますか?」
→50%が「そう感じる」と回答
【スタッフの声】
●年配のお客さまやビジネスマンの方でも、明るい髪色のパートナー(スタッフ)の変化を楽しそうに褒めていただけることが多い
●髪色や、服装がコミュニケーションのきっかけになっているのを目にする
など
ちなみに昨日、【リーダーは「聞く」じゃなく「聴く」】の中で「内発的動機づけ」についてお話ししましたが
仕事で大きな成果をあげるには、達成感や充実感といった内面から湧き出るやる気が大切になります。
そして、自己決定の度合いが高くなるほど、モチベーションも高くなることが分かっているのです。
身だしなみを自由に選べるということも
「この職場にふさわしい服って何だろう?」
「どんな服だと働きやすいのか?」
「どんな服だと楽しく仕事ができるのか?」
など、自らが働きやすい服を考えることによって、自発的なモチベージョンが生まれることにつながります。
これは「自己決定理論」と呼ばれる心理効果であり、非常に有効なのです。
自由化が多様な人財の受け皿に
最後に1つ押さえておきたいのが、身だしなみ自由化は多様な人財を呼び込むことになります。
スターバックスの調査報告の最後に、このような記述があります。
スターバックスでは、人種、年齢、性別など、あらゆる違いを認め合い、お互いの自分らしさを尊重するために、そしてお客さまとの心温まるつながりを生み出すために。そんなスターバックスの想いが、新しいドレスコードに込められています。
「人種」、つまり外国人財の力を頼るための「自由化」でもあることが示唆されているのです。
実は、スタバだけではなく、他の企業でもそのような考えが見られます。
マイナビのキャリアリサーチラボ研究員・三輪希実さんは
「多様性の確保は人材の確保や定着に有効で、文化や価値観の異なる外国人留学生などの採用につながる利点もある」
と指摘。
昨年8月、アルバイトに自由な髪の色を認めたすかいらーくホールディングスでも
「多様性を確保するために時代に合った基準に改めた」
と自由化についての説明をしております。
帝国データバンクが全国約2万7000社を対象に行った従業員の過不足状況についての調査結果によると、昨年10月時点で、非正規社員が不足していると感じる割合が最も高かった業種は「飲食店」。
その割合は…
82%
にも上るのです…(汗)
まさに喫緊の課題である人財不足解決の一手に、身だしなみ自由化を検討する企業はますます増えていくでしょう。
時代に合わせた柔軟な決断が、持続可能な会社づくりの大きな一歩になりそうですね。