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2020年11月の記事一覧
空想お散歩紀行 お掃除人
コンロウ地方、地下深くに可燃性のガスが埋蔵されている土地で、時折地面の裂け目から火が飛び出してくる。
普通だったら人は滅多に近寄らないが、そこに響く声が一つ。
「そおおおおれええッ!!」
そこに動く影は二つ。一つは声の主である少女。そしてもう一つは、黒いゲル状の不定形の生き物。彼女が右手に持っている剣が怪物を地面から引きはがし、空中へと放り出す。
「これで終わりッ!!」
少女は左手に持った銃を怪物
空想お散歩紀行 3色テロリスト:黄
大陸横断巨大飛空艇「ビフレスト」
現在、上空8000メートルを飛行中。目的地は貿易都市アスガルド。乗員約1800名を乗せ、今夜一晩を掛けて飛び続け明日の朝に到着予定。そのビフレストの第4デッキ、
この船で最大の広さを持つビアホール。ここはお手軽な値段の客室に泊まっている旅人や商人などが利用しているのが主なので文字通り多種多様な人間たちでごった返している。その雑多な人込みの中でさえ、さらに異質な空間
空想お散歩紀行 3色テロリスト:青
大陸横断巨大飛空艇「ビフレスト」
現在、上空8000メートルを飛行中。目的地は貿易都市アスガルド。乗員約1800名を乗せ、今夜一晩を掛けて飛び続け明日の朝に到着予定。そのビフレストの第7デッキ、貸し切りにした小ホールの中に総勢43名の男女の集団がいた。それぞれタキシードやドレスなどで全員が正装している。その服装に負けることなく気品を持ち合わせていることから高い教養を持ち合わせていることが伺える。彼
空想お散歩紀行 3色テロリスト:赤
大陸横断巨大飛空艇「ビフレスト」
現在、上空8000メートルを飛行中。目的地は貿易都市アスガルド。乗員約1800名を乗せ、今夜一晩を掛けて飛び続け明日の朝に到着予定。そのビフレストの第5デッキ、グレートBの客室に7人の男女がいた。全員黒を基調とした服を着ている。それらはそれぞれ細かなデザインは違うものの、しっかりとした作りでなおかつ動きやすさを重視した服であることは共通していた。もう一つ共通してい
空想お散歩紀行 スピリッツ・ウェディング
深い森を二日かけて歩いてとうとうたどり着いたその先には、一本の樹があった。そこはまるでその樹のためだけに空間が開けていた。
「はあ~、先輩。さっきまで鬱蒼とした森だったのにここだけ別世界みたいですね」
この場所にたどり着いた者のうちの一人、金髪のショートカットの女の子が隣にいるもう一人の女の子に声を掛ける。
彼女は長い黒髪を帽子の中にまとめた、年は金髪の娘よりも少し上でメガネを掛けていた。そのメガ
空想お散歩紀行 魔法使い一人旅
「よし、今日はここで泊まるか」
私は小高い丘の上を今夜の宿泊場所と決めた。ここは今の時期、夜になると星見草がきれいに光を放つと地元の道具屋で聞いた。当ての無い旅はいい。その土地特有の情報を突然知ることができる。
「さて、暗くなる前にご飯作っちゃおうかな」
私は、この度のお供である「我が家」を見る。
私が開発した、移動式浮遊家屋『フワハウス』
浮遊石と風の術式の組み合わせ。それで家を地面から1メート
空想お散歩紀行 魔女と冒険者
カランカランと、ドアに取り付けられた鈴が音を出す。
「あ、いらっしゃいませー」
客が入ってくると同時に声を出したのは少年だった。だが、よく見ると少年の肘や手首、膝などの間接部は普通の人間のように滑らかではなく、球体がはめ込まれている。少年は魔力で動く人形だった。
「や、久しぶりね。あいついる?」
「はい、マスターなら奥に」
店に入って来たのは一人の少女だった。しかし年ごろの女の子がするような可愛い