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【セルフ・コンパッション】自分に優しくするトレーニング
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆
〜マインドフルネスの効果〜
昨年、「頭を『空っぽ』にするレッスン」という本を読んで以来、マインドフルネスを実践している。
マインドフルネス、という言葉をネットで調べると「『今、ここ』という感覚」という説明がなされることが多いが、正直これだけではピンとこないだろう。
僕なりの解釈で言うと、マインドフルネスとは「今の自分の状態を俯瞰的に観察するクセ」だと思うのだ。
日々の不安や怒りはいずれも過去や未来のものである。しかし、その不安や怒りに振り回されてしまう事で、「今」において誤った行動をとってしまう。
そこで、マインドフルネスにより「今、自分が不安を感じている」事を自覚・認識する事で、その不安がどこから来ていてその不安を基にこれから自分がどうしようとしていたのか、そして、これから自分が何をやるべきで何をやらないべきなのかを分析する事が出来る。
口で言うのは簡単なのだが、いざ自分が怒りや不安などのネガティブな感情におそわれたとき、実践するのは難しい。
瞑想などで常に「今、ここ」という感覚を鍛える事で、ネガティブな感情になった時に「今、自分はネガティブな事を考えている」と切り替えることが、だんだん出来る様になってくる。
さらに、この切り替えがうまく出来るようになってくると「ネガティブな感情というのは、抑え込もうとして抑え込めるものではない。自然に湧き出てくるものなのだ」と気づくようになり、ネガティブな感情に対する恐怖も無くなってくる。
マインドフルネスを実践する事で、かなり生きやすくなった実感がある。
〜セルフ・コンパッションを構成する要素〜
では、本書の話に入る。
「セルフ・コンパッション」は「自分への思いやり」と訳される。
自己批判をしたり自分に厳しくするのではなく、自分をありのままに受け入れて自分に対して思いやりを持つ、という事だ。
著者は「セルフ・コンパッション」という言葉を聞いた時、人は「自分を甘やかす事」だと思いセルフ・コンパッションに対して抵抗を感じる、と書いている。僕自身も最初そう思っていた。
しかし、本書を一通り読めばセルフ・コンパッションが単なる自分を甘やかしたりする事やナルシストや自尊心を高める事とは大きく違う事がわかる。
セルフ・コンパッションを構成する要素は3つだ。
一つは先に書いた「マインドフルネス」。そして、残りの2つは「自分に優しくする」「共通の人間性」である。
「自分に優しくする」というのは、決して自分に甘くなるという事ではない。自分の欠点や短所を自覚してそれを受け入れる。そして、自分の欠点や短所を自分で批判したり逆に開き直ったりするのではなく、優しく包み込むのである。
「共通の人間性」というのは、人はみなつながり合い人はみな同じようなことで不安や怒りを感じている、ということ。
自分の悩みは自分にしかわからないと考えがちだが、実は他人も同じような事で悩んでいたりする、という事を認識する事である。
まとめると、自分の不安や怒り、欠点、短所など自分にとってネガティブなものは自分だけのものではない。自分の中にあるネガティブなものに対して批判したりするのではなく、自分で自分を受け入れ優しくする。そして、自分がネガティブな感情になった時、それを理解するためにマインドフルネスが必要となる。
これらを全て実践することが「セルフ・コンパッション」となるのだ。
この説明だと、正直足りない。セルフ・コンパッションを理解するための微妙なニュアンスは短い言葉で説明するのは難しい。興味を持った方は、ぜひ本書で詳しくセルフ・コンパッションを知っていただきたい。
〜心は鍛えられる〜
セルフ・コンパッションの実践には、間違いなく訓練がいる。本書を読んですぐに出来るものではない。読む人によっては、「こんな都合の良い事あるわけない」と鼻で笑うような内容かもしれない。
僕自身、マインドフルネスを一年ほど実践していたからこそ、このセルフ・コンパッションというものをすぐに受け入れる事ができた。
本書にはセルフ・コンパッション実践のためのエクササイズがいくつか掲載されている。最初はバカバカしいと思うようなエクササイズだが、騙されたと思って真剣に取り組んでみていただきたい。
僕はこのセルフ・コンパッションに限らず、「心は鍛えられる」という事を実感している。正直、人生観はかなり変わったと思う。
この感覚は、心をトレーニングした人にしかわからないと思う。マインドフルネスとセルフ・コンパッションを今後実践していく事で、また新しい世界が見えてくる可能性に僕はワクワクしている。