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ひとくち映画レビュー

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エッセイとして書いてた映画レビューの記事数が増えてきたので、単体のマガジンとしてまとめました。
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#映画感想文

〜ひとくち映画レビュー〜 動物界

〜ひとくち映画レビュー〜 動物界

最近あんまり本数見れてない上での感想ですが…
ここ数年で見た映画で1番良かった映画です。

人の身体が徐々に動物と化していくパンデミックが発生した世界が舞台であるこの作品。
舞台となるフランスでは動物化した"新生物"は隔離する対策が取られていた。
人種差別、移民、ルッキズム、感染症など様々なテーマが内包された本作は、"アニマライズ・スリラー"と称されており、僕自身もホラーやスリラーを見る感覚でこの

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〜ひとくち映画レビュー〜 TRAP

〜ひとくち映画レビュー〜 TRAP

シャマラン映画最新作を久しぶりに映画館で観た。結論から言えば、まぁそこそこに面白かった、と言える。
「シャマラン=大どんでん返し」というイメージがすっかり定着しているが、それを期待していると肩透かしを喰らうかもしれない。
あっと驚く大仕掛けこそ無いが、上映時間があっという間に感じるほど様々な展開が繰り広げられて楽しめた。

「優しいパパ」として娘と一緒に世界的アーティストのコンサートに来た男。しか

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〜ひとくち映画レビュー〜 (ネタバレあり)PERFECT DAYS

〜ひとくち映画レビュー〜 (ネタバレあり)PERFECT DAYS

今回観た映画はかなり感動したので、ひとくち、ではなくがっつりレビューです笑。
長文失礼。

僕の大好きな映画監督であるヴィム・ヴェンダースの最新作であり、さらに東京を舞台にした本作。
観ないわけにはいかない!と思いたち、仕事をサボって(!?)映画館に走った。

ヴェンダースは期待に応えてくれた。観てよかった映画である。

役所広司さん演じる主人公・平山は都内のトイレの清掃員。毎日早朝に起き、布団を

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〜ひとくち映画レビュー〜 CUBE 一度入ったら、最後

〜ひとくち映画レビュー〜 CUBE 一度入ったら、最後

スリラー映画好きなら知らない人はいないと断言しても良いほど有名な「CUBE」を、日本人キャストでリメイクした本作。

こんなコアなファンが多い映画を大胆にもリメイクすることに挑戦した日本の制作者さんたちには拍手するしかない。
どんな風にリメイクしたって「オリジナルの方がいい」と言われる事はわかっているのに、あえてそこに挑戦するのだから。

実際、オリジナルの方が面白い、という感想になってしまうのだ

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〜ひとくち映画レビュー〜 LAMB ラム

〜ひとくち映画レビュー〜 LAMB ラム

公開当時かなり気になってた映画だったのだけど、忙しさの中で観に行く機会がなかった。
今回アマゾンプライムで配信されていたので、やっと観ることができた。

牧場で夫婦が育てていた羊から羊ではない"何か"が産まれ、夫婦がその"何か"を育てる、というのが話の大筋。

かなり空白の多い映画で、結末も含めて見ている人の想像力に委ねられる場面が多い。
でも、なんだか小難しいセリフで煙に巻かれるような感じではな

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〜ひとくち映画レビュー〜 エリジウム

〜ひとくち映画レビュー〜 エリジウム

観終わってから調べて知った事。「第9地区」と同じ監督さんだったんだな、この映画。

「第9地区」が傑作だったのに対して、その映画を観た人からはなかなか酷評だったこの映画。まぁ、観たらなんとなくその評価もわかる。

一部の富裕層が、大気汚染などで荒廃しスラムと化した地球を捨てて、宇宙にコロニーを作り移住した未来、がこの物語の設定なのだが、シンプルにこの設定が充分に活きてないのが原因だと僕は思う。

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〜ひとくち映画レビュー〜 radius ラディウス

〜ひとくち映画レビュー〜 radius ラディウス

半径15m以内に近づいた人間をみんな即死させてしまう現象の謎に迫る2人の男女。

シチュエーションとしては、非常に惹かれるんだけど、これに加えて「主人公の2人が記憶を失ってる」という設定もある。

個人的には、「記憶を失う」っていう設定って最終的に「なんでもアリ」みたいな展開になるので個人的には好きではなく、この映画も想定内の結末を迎えた。

せっかく面白い設定なのに、なんかもったいないなぁーと思

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〜ひとくち映画レビュー〜 ポゼッサー

〜ひとくち映画レビュー〜 ポゼッサー

先日記事を書いた「アンチヴァイラル」で、このポゼッサーの公開時期を見逃していた事を後悔していたのだが、なんと近くの名画座映画館にて上映されていることを知り、すぐに仕事を休みにして観に行った。

いやいや、レンタルか配信を待たなきゃいけないと思っていた矢先に上映している映画館を見つけるなんて、映画の神様は僕を見放してはいなかったのだ笑

映像美とグロテスクさで有名なデヴィッド・クローネンバーグの息子

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〜ひとくち映画レビュー〜 チタン

〜ひとくち映画レビュー〜 チタン

2021年カンヌ映画祭の最高賞・パルムドールを受賞した本作。
子どもの頃の交通事故をきっかけに頭にチタンを埋め込まれ、それから車に対して強い愛情を抱くようになった女性のお話。

うーむ。
多感で尖っていた大学時代に観ていたら、「すげぇ映画だ!」とか思ってたんだろうけど、もうね、30歳過ぎちゃうと映画の中のメタファーとか比喩とか考察するのしんどいんだよね…笑
大学生の時にはそりゃカンヌ映画とか好んで

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〜ひとくち映画レビュー〜 PLAN75

〜ひとくち映画レビュー〜 PLAN75

75歳から自らの生死を選択出来る制度。

ネット上では、こういう制度が出来たら、みないな話が前々からあったような気がするけど、まさかそれが映像化されるとは…!
と、かなり期待して観た。

この「PLAN75」という制度そのものの賛否は人それぞれだろうから、わざわざそこは言及せず、映画の内容について感想を述べたい。

一言でいうと、「物足りなかった」というのが第一だ。

物語は主に三人の視点で描かれ

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〜ひとくち映画レビュー〜 ミッド・サマー

〜ひとくち映画レビュー〜 ミッド・サマー

これは面白い。

びっくり系のホラーではなく、じわじわと背筋に悪寒が走るような恐怖感。
映画全体を通して明るく美しい村の風景なのに、不安感が襲ってくる。序盤こそ退屈な映画だったけど、ラストにかけての恐怖のたたみかけが素晴らしい。
各所で絶賛されているというのも納得。

巷ではどうやら女性の方がこの映画に関心を示しているらしく、ホラー映画スリラー映画でこういった事は珍しい。
そういえば、職場で「この

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〜ひとくち映画レビュー〜 スパイラル ソウ:オールリセット

〜ひとくち映画レビュー〜 スパイラル ソウ:オールリセット

なんだかんだで、これまでのソウシリーズ全部観ちゃってるんで、最新作出たら観たくなっちゃうんだよなぁ…。

うーむ、「オールリセット」というタイトルから期待してたのは原点回帰。なので、前作までの時系列的な繋がりの無い完全新規のストーリーを期待していたのだが…「ジグソウの模倣犯」という線で捜査が進められるので、やっぱりこれまでの「ソウ」の流れの話だったことが1番残念な点。

うーん、まぁこれまでのシリ

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〜ひとくち映画レビュー〜 OLD オールド

〜ひとくち映画レビュー〜 OLD オールド

M・ナイト・シャマラン監督の作品はこれまで全てもれなく観ている。
まぁ、単純にファンなのである。
賛否両論ある監督だが、独創的な感性でオリジナル作品を作り続けている数少ない映画作家として常に最新作に注目している。

さて、そんなシャマラン監督の最新作は、時間が急速に進み恐ろしいスピードで老化する海岸に、人々が閉じ込められる、というスリラー映画だ。

これまでのシャマラン映画の中では、まぁまぁアリか

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〜映画ひとくちレビュー〜 クリーチャー・デザイナーズ

〜映画ひとくちレビュー〜 クリーチャー・デザイナーズ

フランケンシュタイン、狼男、キングコング、ロボコップ、遊星からの物体X、猿の惑星、グレムリン、スターウォーズ、エイリアン、ターミネーター、ジュラシックパーク、などなど、SF映画やモンスター映画では欠かせない特撮、特殊造形、特殊効果。
そのクリエイターたちに迫ったインタビュー形式のドキュメンタリー映画である。

クリエイターたちは、映画で輝くモンスターやクリーチャーたちをどのように生み出したのか、そ

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