見出し画像

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』①ver.4:冒頭約2分。映画のオープニングと文法について

前回の記事からちょっと時間があいてしまいましたが

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』⓪ver.5:フィルム現像経験者で、全国をバイクで野宿旅しながら撮影を楽しんだ人の感想※話が脱線しまくりなので先に謝っておきます|たこハシロウ【日本で一番移動販売を愛する男】

最初に公開した時が2000文字近かったモノが、途中何度か追記をしていたら6000文字近くになってしまったので、ようやくキリを付ける事にしました。

そして『地雷を踏んだらサヨウナラ』『ザ・ビーチ』『エクス・マキナ』を再度見直し、その後『MEN 同じ顔の男たち』を初視聴

ようやく『シビル・ウォー アメリカ最後の日』の話しを・・・

の前に(本当にすいません)

今回も、かなりの脱線と余計な話しがめちゃくちゃ入るので、そこは最初に謝っておきます。間違いなく、本編の内容よりも雑学の方が圧倒的に多くなるので、読むのが面倒になったらすぐに辞めて下さい
人生に必要な知識では無いし、恐らく何の役にも立ちませんので。

では、本編へ


・・・ホワイトハウスでの ”大統領演説” から物語はスタート

そして、演説は誰も居ない部屋のテレビ画面からの映像に切り替わる
そこへカメラを持った女性が画面を横切り、ベッドに腰を下ろす
演説を聞き入り、おもむろにカメラのレンズをテレビに向け、シャッターを押す
次に映像はホテルの外を映し、何かが爆発。その振動でガラスが揺れ
そこの写しだされたテレビ画面も揺れる
その振動と同調するかのようにテンポ良く音楽が流れる・・・

ここまでの約2分ちょっと。この短い時間に様々な情報が詰め込まれ、映画の文法を知っていれば、より解り易く、読み取り易い映画になっていると思え『おっコレは自分好みの映画かも!』と、期待値はかなり上がりました
半面、文法が解らなければ少し解りにくい所もいくつかあるんだろうな、と推測でき。まずはさらっと見て、二度目からじっくりと視よう。そう思えたオープニング

そもそも、映画に限らず。オープニングというか、導入部分は物凄く重要で
アニメやドラマ、音楽。漫才でも、”つかみ” は重要
ましてや映画好きな監督だったり、前作が 意図的に ”文法” を多用していたのなら、期待値は確実に上がり
『映画は冒頭の数分で評価が決まる』とか『映画のオープニングには結末(未来・答え)が込められている』なんて事も言われ

監督としても ”この映画はこんな映画なんだ” ”俺が伝えたい事を解ってくれ”
みたいな、意思表示をしている場面でもある(と自分は勝手に思ってる)
まぁ全ての監督がそうでは無いけど、意識している人が多いのは事実

メッセージかどうかは別にして、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、クエンティン・タランティーノ、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャーの撮る映画で、印象的なオープニングが多いのはかなり意識している証拠。
個人的に、デヴィッド・フィンチャー監督のドラゴンタトゥーの女(2011年)は、今でもたまにオープニングだけ見たくなり、YouTubeで見る事があるんだけど。映画を知らず、オープニングの音楽が流れる場面だけを見たら『ミュージックビデオ!?』って思う。とにかくテンションの上がるオープニング
で、映画とはちょっと離れるけど。自分は ”Maroon 5” が好きで、よく聞いているんだけど、特に ”Love Somebody” のミュージックビデオもよく見てて。雰囲気は違うけど、映像は何となく似てる。

アニメで言えば、押井守監督と今敏監督。『機動警察パトレイバー2 the Movie』のオープニングは音楽と映像が本当に印象的
今敏監督は、映画の文法というか表現方法を物凄く工夫していて。『映画の冒頭で ”この映画はこんな映画です” という事が解るように作っている』と話していました。ですが『見る人は別にそんな事気付かなくてもいい』とも
製作者としていろんな情報を入れてはいるけど、見方に正解は無いので気にせず見て欲しいって事。
ここで詳しく映画の解説をすると、軽く数千文字は増えてしまうので書きませんが。今敏監督の映画は、とにかく緻密で情報量の多い作品ばかり。
季節的には『東京ゴッドファーザーズ』がいいかも。意外な方が声優さんをしていて、めちゃくちゃハマってる。とてもいい映画です。配信でも見れたりするので、時間に余裕のある方は是非見て下さい

いつもながら脱線してすいません、戻ります。

まず、大統領の演説シーン。正確に言えば、演説のリハーサルですが
大統領は右側を向いて話しています。途中、いくつかの争いの場面が差し込まれながら。
そして、次のシーンになると大統領は ”正面” に向かって演説をしています
文法を当てはめて見れば、右側を向いているシーンは過去なので。演説の前には ”大統領がこのようなリハーサルをしていた” という過去を伝え
正面の映像が流れているのは、”今” という事になるのだけど・・・

映画では、右側を向いている表現を ”過去” や ”思い出” ”回想シーン” と表現する事があり
逆に、左側を向いている表現は ”未来” を表している事があります。
時間とは別に ”強弱” を表す時は、強いモノはから出てきて。弱いモノはから出てくる、というのもあります(全てのシーンで使用される訳ではなく、重要な場面や協調したい事がある時で、それも監督によって様々)
ちなみに、大統領は画面の左から登場し。女性は逆の右から登場していました
左右の話しの他にも、ハリウッド映画の多くは ”三幕構成” というカタチ(脚本)で作られる事が多く。小説やゲームなどで使われる事もあり、日本でも宮崎駿監督の作品だったり。庵野秀明監督は、アニメ・実写、共に意識していると思われ。全てとはいいませんが、興行収入の高い作品の多くは映画の文法に沿った作り方をしているようです
映画に限らず、人が創り出すモノには様々な意図やメッセージがあり。その意図やメッセージを汲み取る事で、より一層楽しめるようになっています。
ただ、映画は娯楽。頭を空っぽにして派手なシーンを楽しむ事も大事で、どのように見るかは本人の自由
ですが、監督が手間暇を掛け緻密に作り込んでいる映画は、目と頭をいつもよりちょっと使って、楽しみを増やすのもいいかなって思います
それでは、そんな気持ちで再び映画のシーンに戻ります。


TV画面では大統領の演説が流れ、女性がカメラを持ったままベッドに腰を下ろした時。テーブルにはレンズ、ベッドにはもう1台のカメラ。それに ”PRESS” と書かれたヘルメットとベストがあり、報道関係者という事が解る

演説は続き、横に置かれたPCでは画像のアップロードがゆっくりと進む
その演説の途中 ”首を少し傾げた” 後。ストラップに手を入れつつカメラを構え、レンズを大統領に向けてシャッターを ”押す”

ここで、大統領を撮る(撮影する)[shotshoot ショット:シュート]という行為が、その後の大統領への行為を暗示させ、この映画全編の ”鍵” になる

それと、もう一つ大事な ”鍵” が最初のシーンに写されていて
大統領が演説のリハーサルの最後、笑顔 を見せるシーン
これは、大統領がどのような人間かを表し。後に、より強調される表現もあり、ラストシーンとの ”対比” を一層際立たせる効果がある
そして、ピントが少しボヤけている 事も意味があり
過去の紛争画像が差し込まれている事と、後にメディアの取材を長期間受けていないという事実を伝えている事で、大統領の姿はTVを通してでしか確認できてない
もっといえば、大統領の生死は不明 (この放送は真実を伝えているのか?)という疑問があり。だからこそ、直接ワシントンへ向かい大統領を撮影(インタビュー)するという動機に繋がり。この映画全編に通じるテーマ、”疑う” という事も表現している。

冒頭の約2分で、最後を暗示もしくは際立たせる為の仕掛けが散りばめられ、緻密に描かれた映画という事が解り
爆発の衝撃を、音だけではなくガラスに映る映像の 揺れ でも表現し。同時に、爆発を見ても全く動じない主人公がこの状況に慣れている事を表している。そして、最初は部屋の外で起きている 爆発 に合っていたピントが。今まで演説をしていた大統領の画面から アメリカの地図 の画面に切り替わると同時にピントが合い。その画像( アメリカ の地図)が揺れる 事でも、現在のアメリカが不安定 な事を 表現 し。そこに見事にシンクロした音楽を ”重ね合わせる” という。音響面でも、かなり緻密に計算された映画という事も解り、期待値はどんどん上がってしまいますよね。
たった2分ちょっとのオープニングですが、かなり引き込まれてしまいます。

と、今回は冒頭の約2分について書かせて貰いました
無駄話しが多くて本当にすいません。そして、読んでくれてありがとうございました
次回は、映画の文法についてもう少し書かせて貰い。映画の中で起きている状況を、アメリカの歴史と地政学的な面から少し説明してみたいと思います
尚、自分の説明は勝手な想像(妄想)で、個人的に勝手な解釈をして楽しんでいるだけなので、もし気分を害される方が居ましたらすぐに読むのを辞めて下さい。

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』②ver.1:大統領執務室での演説について|たこハシロウ【日本で一番移動販売を愛する男】





いいなと思ったら応援しよう!

たこハシロウ【日本で一番移動販売を愛する男】
社会的弱者、特に両親を亡くした子供達を支援できる仕組みを作ろうと頑張っています。 チップは専門書の購入や政府・自治体・企業への働き掛けの為の活動費にあてさせて貰います。あと、食品に使用される添加物や化学調味料等の安全性を検証する為、独自の検査をして公開できればとも考えています。

この記事が参加している募集