マガジンのカバー画像

戦争を学ぶ

329
戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
運営しているクリエイター

記事一覧

メモ 日露戦争における日本軍の戦略と通信インフラの関係

戦争において情報の優越が重要であることは古くから議論されていることですが、具体的にそれを…

あるソ連の従軍記者が見たスターリングラードの戦い(1942-1943)

スターリングラードの戦いは1942年6月から1943年2月までヴォルガ川の西岸に位置するスターリン…

ポスト冷戦時代に「テーラード抑止」を提唱したDeterrence in the Second Nuclear Age…

ソ連の崩壊と共に冷戦構造が崩れると、国際システムの状況は冷戦期のそれとは大きく異なるもの…

論文紹介 コンピューターがサイバー戦争のすべてではない

サイバー戦(cyber warfare)という概念は安全保障の分野ですっかり定着しましたが、その意味…

メモ 一次大戦で米国社会が直面した鉄道輸送の渋滞と長距離トラック輸送の台頭

1917年にアメリカ政府が第一次世界大戦に参戦すると、それまで見過ごされていた準備不足が次々…

ベトナム戦争におけるリモート・センサーの運用を記述したWiring Vietnam(2007)の紹介

ベトナム戦争で北ベトナムがアメリカの軍事的支援を受ける南ベトナムの対抗し、1975年には南北…

100

メモ ソ連の軍事理論家スヴェチンは軍事産業の管理をどのように考えたのか?

ソ連の軍事理論家アレクサンドル・スヴェチンは『戦略』(1926)で独自の戦略理論、作戦理論を展開した人物ですが、そこでは軍事産業に関する分析も含まれています。ただ、スヴェチンはやみくもに軍事産業を拡大させることを主張していたわけではありません。むしろ、軍事産業の拡大が経済システムの全体的な均衡を変え、結果として自然な経済発展が妨げる恐れがあることについても警告を出していました。その議論を紹介してみたいと思います。 スヴェチンの見解では、小規模な領土しか持たない国家であれば、

核の時代における防衛知識人の働きを記したThe Wizards of Armageddon(1983)の紹介

フレッド・カプラン(Fred Kaplan)はアメリカの防衛問題を専門とするジャーナリストであり、…

メモ なぜヒトラーは降伏しなかったのか

イアン・カーショー『ナチ・ドイツの終焉』(宮下嶺夫訳、白水社、2021年)は外交によって戦争…

論文紹介 指揮統制システムが第三次中東戦争でのイスラエル軍の優位を支えた

1967年に勃発した第三次中東戦争はイスラエルが数的に劣勢であるにもかかわらず、作戦、戦術の…

冷戦期のソ連軍は戦術核兵器をどのように使用することを考えていたのか?

1945年に第二次世界大戦が終結してから、ソ連の最高指導者であるヨシフ・スターリンは自らの戦…

100

論文紹介 テロとの戦いを通じて米軍はどのような作戦ドクトリンを発展させたか

2001年から2006年までアメリカの国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルドは、テロとの戦いを…

ベトナム戦争で米軍が冒した犯罪を暴き出す『動くものはすべて殺せ』(2013)の紹介

2013年、ベトナム戦争でアメリカ軍の戦争犯罪に関する包括的な調査の結果をまとめた著作『動く…

第二次世界大戦で経済学者クズネッツはどのように米国の産業動員に関わったのか?

1941年に第二次世界大戦に参戦したアメリカ政府は、ドイツ、日本、イタリアに対抗するため、自国の国防予算を拡大し、民間部門から軍事部門に生産力を再配置する産業動員(industrial mobilization)を行おうとしました。しかし、産業動員の実現可能性を評価する方法についてはまだ確立できていませんでした。 経済学者であり、統計学者でもあったサイモン・クズネッツは今日でも経済学の歴史で国民所得や経済成長の計量的分析に取り組んだ先駆者として知られており、1971年にはノ