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読書感想文

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春うららかな快晴の日曜日に、一万五千文字のブラック企業をつくる方法を書いたが、全くバズらなかった話【理科系の作文技術】

春うららかな快晴の日曜日に、一万五千文字のブラック企業をつくる方法を書いたが、全くバズらなかった話【理科系の作文技術】

ブラック企業をつくる方法という記事をかいた[1]。

これは、もちろん、”ブラック企業をつくる方法”と銘打った、”ブラック企業(的なメンタリティ)を見分ける方法”である。僕はブラック企業的なメンタリティを持つ人が一掃されればよいと思っている。この記事を逆説的な警句として書くことで、就活生や転職中の人がブラック企業を避けるのに役立てばと考えていた。

この記事を書くのには結構な労力を費やした。主に心

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最近世に広がっているインテリマッチョイムズ【ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち】

最近世に広がっているインテリマッチョイムズ【ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち】

 高校時代、僕は日本史のテストで7点をとった。もちろん100点満点中の7点だ。まったく勉強しなかった結果がこれでもかと点数に反映されていた。

 一桁台の点数をとった理由は、僕は日本史にまったく興味がなかったからだ。僕が知っていたのは新撰組の小説から得た史実くらいである。多分、その辺の時代の問題が、その時のテストの7点分の配分だったのだろう。

 だけれど、そのテストの結果を受け取ってから15年以

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モザイクの向こう側が見たくて【「秘匿捜査」レビュー】

モザイクの向こう側が見たくて【「秘匿捜査」レビュー】

※上のイラストは「ハコヅメ」7巻kindleの位置No.139より引用

 突然だが、皆さんはモザイクの向こう側を見たくなったことはあるだろうか?

 恥ずかしがることはない。隠されたものをどうしても見たくなるというのは人間の性というべきものである。秘密は人間の想像力を掻き立てる。

 例えば、ミロのヴィーナスは両腕を失っていたからこそ美しい、という話は有名である。失われた両腕はいわばその歴史の中

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傍観者に期待するのは間違ってる【「シャガクに訊け!」感想】

傍観者に期待するのは間違ってる【「シャガクに訊け!」感想】

シャガクに訊け!がいい小説だった

 「シャガクに訊け!」を読了。いい本!思わず普段あまりつぶやかないTwitterにAmazonのリンクを投稿するくらいいい小説だと思った。

明瞭な主題は物語と要素の有機的なつながりを生む

 不思議なことに、この本はストーリーの構造が凝っているというわけではないにも関わらず(綺麗な構造だとは思うが)、物語によって何を語りたいかということが明瞭に伝わってくる。昨

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3年かけてネット小説を書いたけど誰も読んでくれないので自分でレビューするという地獄【黒い服の魔女】

3年かけてネット小説を書いたけど誰も読んでくれないので自分でレビューするという地獄【黒い服の魔女】

1.誰も読まないもんで
タイトルの通りである。

 2019年6月15日に「小説家になろう」に拙著「黒い服の魔女」第一話を投稿してから約三年後、ようやく最終話を投稿した。ただし、三年間ずっと継続して書いたわけではなく、休み休み書いていたため、文字数は多くない。だいたい三万字程度の分量である。

https://ncode.syosetu.com/n4963fo/

https://kakuyomu

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ハチ公とネコとピラニアと人間の経済【ヤバい経営学】

ハチ公とネコとピラニアと人間の経済【ヤバい経営学】

ハチ公前の広場に落とされた千円札
千円札が落ちていたとしよう。渋谷のハチ公前の広場を思い浮かべてほしい。そこにピカピカのピン札が落ちている。三時間後にもう一度その千円札が落ちていた場所を見たとして、まだその千円札はそこに残っているだろうか?

なんとなくだが、千円くらいならネコババしても大事にならなさそうだし、小銭を拾うよりそれなりに得した気分になれそうだ。ちょうどいいランチ代になる。

というわ

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負け犬たちの哲学【14歳からの哲学入門】

負け犬たちの哲学【14歳からの哲学入門】

哲学は死んだそうだ。

僕は博士(Doctor of Philosophy, Ph.D)なので、哲学(philosophy)が死ぬのはすこし困る。遺伝学を専攻して理学博士になった僕は自分のことを科学者だと思っているし、科学は元々哲学と起源を同じくするからだ。

古代ギリシャの「最初の哲学者」と呼ばれるタレスは自然のメカニズムを解き明かそうと試みたことから、自然哲学者と呼ばれている[1]。彼は自分た

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