【クリスマス間近!強い恋愛欲求におかされた女子のための彼氏の作り方】
「クリスマスひとりなの、つらい。」
「彼氏とイルミネーション見に行きたい。」
この時期になると嘆き始める女性たちがいる。風物詩ですねえ。熱燗を注いだおちょこで口元を隠しながら、俺はひっそりと笑う。恋愛欲が活発になった彼女たちを否定する気は毛頭ない。もういいやと諦めるより、数多の恋を探せよ乙女、である。
「じゃあ彼氏を作ればいい。」
「でも出会いがないからむり。」
おいおい、なにを甘えたことを言っている。出会いがなくて苦しんでいるのなら、出会いを作る努力をすればいい話である。飲み屋に足を運んでみる、イベントに参加してみる等々、積極的に男を探しに行けばいい。星の数ほど男はいるのだから、いつかは良い人に巡りあうことが出来るだろう。さっさとスマホをポケットにしまって、鏡に向かっていざ気合を込めよ。
こう言うと大抵、嫌な顔をされる。面倒くさいわこの男。ねえ、表情に出ているよ。
たとえば、「今夜はカレーを作ろうかな」と思ったら、まずは買い物に出かけなければならない。玉ねぎ、人参、じゃがいも、肉、ルーの素・・・。諸々の材料を揃えることでやっとスタートラインに立てる。そこから米を炊いて野菜を切って、様々な調理工程を経て完成させていくわけだが、最終的に美味しく出来上がるかどうかは自分の腕次第。手を抜けば手を抜いたカレーが出来るし、手間暇かければその分グレードの高いカレーが出来あがる。
出会い作りもカレー作りと同様である。まずは買い物(外に出ること)。そして材料を集めること(出会いの場に行くこと)。次に手間暇をかけること(自分の魅力をアピールすること)。これらを遂行することで、現状を打破する確率が大いにアップする。出会いがないないと嘆く前にまずは行動だ。
・・・とまあここまで喋ってきたが、最大の難関をまだクリアできていない。
そう、『いいなと思う人』の作り方だ。
まず前提として、中学生や高校生のような甘酸っぱい恋を期待するのは幻想だと心得よ。理由はもう分かっているはず。端的に言うと、あなたは大人になってしまったからだ。完全にブーメランになるのでこれ以上は言わせないでくれ。俺もつらい。
ゆえに、彼氏イコール『いいなと思う人』というシンプルな認識に移行するのだ。『いいなと思う人』よりも彼氏を作ることに比重を置くのである。『いいなと思う人』作りは高望みの原因となり、ミシュラン三ツ星シェフが作ったカレーしか食べないみたいな人しか好きになれなくなってしまう可能性があるからだ。あなたがミシュラン三ツ星シェフならいいのだが、おそらくそんな人はこんな記事など読んでいないだろう。もちろん、あたかも三ツ星シェフかのように振舞う背伸び行為も危険である。高いヒールを履いていても、裸足になれば素の自分が出てしまうのだ。それにいつまでもヒールが脱げないのはやっぱりきつい。
じゃあどうやって彼氏を作ったらいいのって?そう思うということは、『いいなと思う人』を作ろうとしてる気持ちを完全に捨てきれていない証拠である。ふん、そんなものは少しの欠片も残さず木っ端微塵に砕いてゴミに出してしまうのだ。欲望をまっさらにして、強引にでも構わないから己を整えるのだ。あとは出会った誰かとなんとなく仲良くなって、なんとなく良い雰囲気になるのをなんとなく待てばいい。これでそのうちできる。いや、ホントだって。
淡々と毎日を同じようにこなしているだけでは何も変わらない。ネオン煌めく街角からサンタクロースがナンパしてくることはあるかもしれないが、たぶんそいつは本物のサンタじゃない。あなたが願っている自分だけのサンタクロースは、日常を飛び出した先で待っているであろう。
大丈夫、今から支度をすればまだ間に合う。冬の空の下、なにふりかまわず走り出せ。