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冬の心

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1993年に日本で公開されたフランス映画『愛を弾く女』についてのマガジンです。同名のノベライズもこの映画の公開に合わせて出版されました。ノベライズを書くにあたって苦労したこと、刺…
月に2本ほどのペースで更新しますが、全10本以上になる予定ですのでマガジンで購読したほうがお得です。
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2025年1月の記事一覧

冬の心(その10)——最期。

冬の心(その10)——最期。

 ソナタ形式、もしくは交響曲によくある四楽章構成を意識して書いたこのノベライズの最終章は「死」と題されています。よくもまあこんなベタなタイトルにしたもんだと、振り返ってわれながらあきれてしまいますが、安易に考えたわけでもなかったような気がします。

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冬の心(その9)——遠い記憶。

冬の心(その9)——遠い記憶。

 そろそろ、このノベライズのまとめのような、レジュメのようなものを締めくくらなければなりません。
 自分を取り巻くすべての人間関係を破綻に追い込んでしまったステファンは、恩師ラショーム先生の隠棲するサン=マルタンの森へと向かう。そこで今回の騒動の顛末をすべて打ち明ける。「自分の感情を完璧に支配しようなんて、傲慢だよ」という恩師の一言に、深く項垂れるステファン。

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