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🤝コンセンサスを意識した話し合い活動を - 脱・多数決 -
本題に入る前に、みなさんはラーメンはお好きですか?また、もしラーメン店に行列ができていた場合、どれくらいの時間、待つことができるでしょうか?
私は、あまり待つのは得意な方ではないため、予約ができる店ならば、必ず予約をとり、スムーズに入店したい派である。
しかしながら、大好物のラーメン専門店に限って、予約のシステムなど、ほぼほぼない。最近はめっきり寒くなって、店の外で待つのが苦痛だが、しっかり列に並ばねば、マナー違反となる。
有名なラーメンYouTuberの方のコメント欄に「ラーメン屋に並んでる奴は全員バカです。」と残した輩がいるらしい。ラーメンではないが、以前名古屋に旅行に行き、有名な味噌カツ屋に並んでいた際、「ここのトンカツうまいって言ってるやつはバカ舌!」と、行列に向かって大声で叫んだ輩もいた。『そんな別に思ってても言わんでも…。』と呆れた。
味覚の違いも価値観の違いの一つ。ビールがうまいと感じる人もいれば、苦いだけと感じる人もいる。価値観の押し付けほど最悪なことはない。(「価値観の押し付けはよくない」というのも一種の価値観なので、矛盾してる…?)
とにもかくにも、「ラーメンはうまい!」と思うことも価値観。もっと限定的に「一蘭は最高!」と思うことも価値観。さらに、「一蘭を食べるために1時間は並べる!」というのも価値観。「一蘭、おいしいけど、1時間は並べないなあ。」というのも価値観。
価値観のちがいを数字で視覚化できるよう、ワークシートの1枚目では、「時間の感覚」を記入させる活動を実施した。
価値観に正解などない。周りとのちがいに気付き、理解し、受容する。そのようなマインドを育みたいところだ。
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ワークシートより抜粋
さて、メインの活動のキーワードである「コンセンサス」という言葉をご存じだろかか。“consensus”という英語が外来語として、主にビジネスシーンで定着している。「全員の意見が一致している」「合意をとる」という意味である。
日本は多数決が大好きな国である。何かを決めるときは大体、多数決。学級目標も多数決。国会も多数決。困ったら多数決。最後の砦、多数決。
「少ない意見を採用すると、その他多く人がやる気をなくす」「人数の多い意見のほうが、合っている確率が高い」「全員に伺いを立てるのでとりあえず平等」などの理由が多数決を採用する理由であろう。
しかし、「話し合う必要がなく、楽だから」その手っ取り早さが一番の理由なのではないだろか。
時として話し合いをとおして、一人では思いつかなかったアイデアが生まれることもある。一方、意見が衝突することもあるだろう。その場合、相手の意見の脆弱性を突いたり、否定したりすることは簡単だが、建設的な話し合いとは言い難い。話し合いのせいで、その後の人間関係が悪化することもある。
逆も然り、安易に周りに同調し、易々と自分の意見や考えを捨て、相手と向き合うことを放棄することもまた簡単である。
しかし、それでは自分の意見も大切にしつつ、異なる意見を受容するハートは育たない。今回の授業では、次のような非現実的な場面設定を行ったが、いつ何時、話し合わねばならない機会が訪れるかは、誰にもわからない。
大型ヨットでツアー航海中,嵐に遭遇。全く面識のない6人(男3人,女3人)が,身一つで無人島に漂着。なんとか,ヨットからナイフ・鍋・ロープ,そして2日分の水(ペットボトル)と食料(缶詰)を運び出すことができた。SOS信号も受信され,救助を要請することができたが,その後ヨットは沈没。救助艇が島に到着するのは,早くて15日後になりそうだ。
【条件】
・6人の中に10代以下と70代以上はおらず,サバイバル経験者が一人いる。
・人間は,水と睡眠さえとっていれば,たとえ食べものがなかったとしても2~3週間は生きられる。
だが,水を一滴も飲まないと,4~5日程度で死んでしまう。(海水を飲むと脱水症状になる)
・イカダを作っても,潮の流れの関係で,必ず無人島へ戻ってしまう。(イカダでの脱出は不可能)
・浅瀬には魚が住んでおり,森の中にはウサギやリスなどの小動物,また毒ヘビも生息している。
・島の気温は,5℃~13℃。6人の中に半袖・短パンの者はいない。(5℃は今の体育館程度の寒さ)
話し合いの目標は、全員が生き残ること。その目標達成のため、『水の確保・食料の確保・住居の確保・道具づくり・火起こし・仲間とのコミュニケーション・仲間との協力・忍耐・役割分担』これらの優先順位について話し合わせた。
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現実でも意見が対立することなど、事の大小に関わらず、必ず起こり得ることである。来る日、今はまだ幼い子どもたちが、周囲との建設的な話し合いをとおして、互いに納得のできる合意形成ができることを願って。
どこかの誰かの何かの足しになりますように。