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私の思ったこと

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1日の中で、感じたこと、思ったこと、考えたことを毎日更新しています
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傷ついたことを伝える勇気

傷ついたことを伝える勇気

人は生きている限り、どんなに配慮しているつもりでも、誰かを傷つけてしまうことがある。しかし、その事実に気づくことは意外と少ない。なぜなら、多くの場合、傷ついた側はそれを伝えないからだ。

 たとえ気づく機会があったとしても、それは人づてに時間差で伝わる程度だろう。だからこそ、自分の言動によって相手が抱いた違和感を見逃さず、その可能性を心に留めておくことが大切になる。とはいえ、こうした傷つきは表面化

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底の底まで行ってみる

底の底まで行ってみる

「謙遜は美徳ではないよ」

かの名探偵シャーロック・ホームズは、そうワトソンに語ったという。

「いえいえ、自分なんて大したことないですから。」
「自分なんかより、あなたの方が、みんなの方が素晴らしいですから。」

こうした言葉は謙遜の表れだ。しかし、果たして人は本当に心の底からそう思っているのだろうか。むしろ、そう口にするのは、自分自身に対する期待や、自分の力をどこかで信じているからではないかと

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記憶を揺り動かすもの――個人と自然の交差点

記憶を揺り動かすもの――個人と自然の交差点

私たちは、外部の出来事やその揺らめきに触れることで、記憶を刺激される。

何に心を動かされるかは、その人がどんな記憶を蓄え、大切にしているかによって異なる。ある人にとっては、映画のワンシーンが蘇るかもしれない。ある人には、料理の味や香り、訪れた店やその道のりが思い出されるだろう。また、誰かの声や話の内容、あるいは存在そのものが記憶を呼び起こすこともある。

こうした個人に紐づく記憶は属人的でありな

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沈黙の価値

沈黙の価値

現代は「速さ」に価値が置かれる時代だ。

仕事のやり取りはもちろん、プライベートや家族の会話にまで「早い方がいい」という思いが入り込んでいると感じる。確かに、何かをするなら素早いほうが効率的だ。しかし、その意識が強まると、人は「本当のことを口にする」よりも、「素早く答えを出す」ことを優先してしまう。すると、沈黙の中でじっくり考える時間が失われてしまう。

もちろん、一瞬で適切な答えを出せる人もいる

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みんなに好かれることはできるのか

みんなに好かれることはできるのか

どれだけ相手のためを思い、身を粉にして尽くしたとしても、それが本当に感謝されるのか、もっと言えば相手のためになっているのかさえ分からないことがある。

万人にとっての「いい人」というのは存在し得ないのだと、改めて思う。

例えば、恵まれない子どもたちのために学校を建てた人がいるとしよう。その行いは多くの人に称賛されるだろう。しかし、自分の時代にはそのような支援がなく、その恩恵を受けられなかった人か

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忘れることの恩恵

忘れることの恩恵

人は、その瞬間を忘れたくない。あるいは、かつていたあの人に会いたいという思いから、写真や録音、映像に刻み込み、永遠に残そうとしてきた。

 しかし、それらはすべて「人が忘れる」からこそ生まれたものだ。

 ならば、忘れなければいいのに——そう思うこともあるだろう。だが、大人になればなるほど、すべての記憶が残ることの恐ろしさを知る。悲しみも、痛みも、後悔も、一切消えずに積み重なる人生を想像すれば、「

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当たり前を支えるもの

当たり前を支えるもの

僕は毎日、文章を書いている。そう話すと、多くの人がリアクションをくれるし、自分の書いたものが形として残ることで、信用につながることもある。そうした側面があるからこそ、書き続けることができているのかもしれない。

 だからこそ思うのは、文章を書くこと以上に、多くの人が日々習慣としていることのすごさだ。もっと言えば、自覚すらせずに続けていることにこそ、僕は強い敬意を抱く。

 その中でも特に尊敬してい

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旅人と旅行者のあいだで

旅人と旅行者のあいだで

『旅先で「帰る」ことを意識しているのは旅行者』。
 一方で、常に『「次はどこへ行こうか」と考えているのが旅人』。

 その定義に当てはめると、ボクはやはり旅行者なのだと強く感じる。

 その場所に行きたいと思っていたのも確かだし、今を楽しめていないわけではない。そこが心地よくないわけでもない。
 それでも、どこかで「帰ること」、つまり home の存在が頭をよぎる。

 ボクにとって移動や旅という

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じぶんがじぶんにかける呪い

じぶんがじぶんにかける呪い

20代の人が30代や40代を「おじさん」「おばさん」と呼び、あるいは30代や40代の人が50代や60代についてネガティブなことを言うのを聞くと、「運が良ければ、いつか自分もそうなるのになぁ」と思う。

歳を重ねれば、誰しも小さなミスや大きなミスが増え、体も思うように動かなくなっていく。にもかかわらず、そうした変化を笑ったり、いじったりする人も、やがて同じ道をたどるはずなのに——。

もし、自分が決

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じぶんの物語を生きる

じぶんの物語を生きる

気づけば、私たちは多くの声を聞きながら生きるようになった。

言葉だけでなく、誰かが見た景色や、見せたい世界までも、限りなく共有される時代になった。しかし、忘れてはならないのは、それらはすべて他者のものであるということだ。

映画に例えるなら、映画の主人公がずっとスクリーンの中で映画を観ているようなもの。その光景を目にしたとき、私たちはきっとこう思うだろう。

「映画なんか観てないで、じぶんの物語

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聞こえないクレームに寄り添うということ

お店やサービスを利用すると、人それぞれに感想を持つものだ。安かろう悪かろうと分かっている場合、多少の不満は想定内かもしれないが、誰もが気持ちのよい場所やサービスを求める。そして、そうした体験をすると「また行きたい」と自然に思うものだ。

心地よいサービスを受けたとき、人は「ありがとう」と伝えたくなる。「また来てください」と声をかけられたときも、本当に良いサービスであれば「こちらこそ」と感じ、また訪

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愛することで愛される

愛することで愛される

「愛されたければ、まず先にあなたが愛するのです」という言葉がある。これは「自分から与えなければ与えられない」という意味で使われることが多く、資本主義の社会では投資やリターンの概念と結びつけられやすい。

大人同士の人間関係はもちろん、子どもや犬猫などの動物にも愛を持って接すれば、愛が返ってくる。しかし、人間関係においては必ずしもそうとは限らない。与えたのに報われなかった、優しさが裏目に出た、投資し

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退職理由の奥にあるもの

退職理由の奥にあるもの

職場を退職するとき、「退職理由」を聞かれることがある。

しかし、職場を離れる人が残る人に対して語れる理由には限りがあるように思う。どれだけ前向きな理由であっても、すべてを正直に話せば、残る人の何かを傷つけてしまうかもしれない。だからこそ、多くの退職者は言葉を選び、伝えられる範囲で理由を話す。

そうした退職者と会話をすると、彼らが語らなかった部分に思いを巡らせることの大切さに気づかされる。「話し

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後悔を減らすために本当に大切なこと

後悔を減らすために本当に大切なこと

人はどんなときに後悔するのだろうか。

それは、「あのとき◯◯しておけばよかった」と悔やんでも取り返せない瞬間にあるように思う。そして、なぜ後悔してしまうのか。その理由の多くは、分岐点で納得して選ぶことができていなかったからではないだろうか。

本当は違う選択をしたかったのに、社会通念や他者の目を気にして決めてしまった。「これしかない」と自分に言い聞かせて選んだ。そんな分岐点でのフラストレーション

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