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記憶を揺り動かすもの――個人と自然の交差点

私たちは、外部の出来事やその揺らめきに触れることで、記憶を刺激される。

何に心を動かされるかは、その人がどんな記憶を蓄え、大切にしているかによって異なる。ある人にとっては、映画のワンシーンが蘇るかもしれない。ある人には、料理の味や香り、訪れた店やその道のりが思い出されるだろう。また、誰かの声や話の内容、あるいは存在そのものが記憶を呼び起こすこともある。

こうした個人に紐づく記憶は属人的でありながら、そのぶん強い衝動を伴う。なぜなら、それは「わたしだけの記憶」だからだ。

しかし、個人的な経験とは別に、私たちの記憶を揺り動かすものがある。それは、自然であり、自然の現象だ。

たとえば、雨。かつて狩猟をしていた人類は、洞窟で雨宿りをしたり、雨水で喉を潤したりしていたかもしれない。海を眺める人には、それぞれの「海」があり、風に吹かれる人には、それぞれの「風」がある。

私たちはコンビニの明るい蛍光灯に想いを馳せることは少ないが、火の瞬きには、かつての人々の暮らしや生活を想像することがある。

こうした日常の何気ない風景の中には、記憶を呼び起こすものが溢れている。そして、それによって蘇る記憶がある。

こうした時間こそが、私には豊かさのように感じられるのだが、皆さんはどうだろう?

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