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傷ついたことを伝える勇気

人は生きている限り、どんなに配慮しているつもりでも、誰かを傷つけてしまうことがある。しかし、その事実に気づくことは意外と少ない。なぜなら、多くの場合、傷ついた側はそれを伝えないからだ。

 たとえ気づく機会があったとしても、それは人づてに時間差で伝わる程度だろう。だからこそ、自分の言動によって相手が抱いた違和感を見逃さず、その可能性を心に留めておくことが大切になる。とはいえ、こうした傷つきは表面化しにくく、誰にも気づかれずに消えていくことがほとんどだ。

 しかし、時に「それは傷ついた」と伝えてくれる人がいる。このような言葉や仕草が自分にとって傷となったと打ち明けるのは、決して簡単なことではない。もちろん、腹立たしさが根底にある場合もあるだろうが、それでも伝えるには勇気が必要だ。

 その勇気とは、単なる不満の発露ではなく、関係性を大切に思うがゆえに生まれるものだ。もし相手との関係がどうでもよければ、わざわざ伝える必要もなく、ただ距離を取るだけで済む。しかし、伝えるという行為は、これからも関係を築いていきたいという想いの表れでもある。

 だからこそ、「傷ついた」と伝えてくれる人の勇気には、敬意を抱かずにはいられない。

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