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大事な仕事で大失敗。やる気がなくなり、辛い【仏教で答える悩み相談33】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。

今月のお悩み

Q 本気で取り組んでいたプロジェクトでミスをして、担当から外されてしまいました。原因は自分にあるとわかっているものの、仕事へのやる気がなくなり、辛いです。どうしたら、やる気を取り戻せるでしょうか。
(30代・男性)

A1 
挫折経験は、人に厚みを与える

 
 職場では上に立つ者としての意見です。
 プロジェクトチームのメンバー、特にリーダーにあたる人は、プロジェクトから外されたその後のあなたの姿勢を見ていると思います。やる気を失くしていたら、「一回のミスで仕事を放棄する人」という印象を与えているかも。
 
 考えようによっては30代で経験できたのは幸運です。

 やり直す時間も、その辛い経験を活かす時間も残されている。挫折経験は、必ず人間としての厚みとなります。ミスや危機的状況は、それを乗り越える、もしくは責任を取るそのプロセスで、後の評価は変わってきます。今こそが踏ん張り時なのかも。

 仕事に向き合う真摯な姿勢は、成果よりも評価される時があると思います。ミスなんて、本当に誰でも犯すこと。あなただけじゃない!

 かくいう私も未だにしょっちゅう部下から怒られて、ダメ人間な気分に浸る日も多々あり……です。
(編集委員・枝木美香)

A2
チャンスはまた巡ってくる

  
 自分のミスからプロジェクトからはずされてしまったとのこと、やるせない気持ち分かります。挫折を経験したことのない人は稀だと思います。現実を受け止め、歩み出すには時間が必要かも知れません。

 例えば信頼できる先輩や同僚に話を聞いてもらってはいかがでしょうか。また休日に生活の場から一旦離れ、自然の中に身を置き、気持ちをリセットするのもいいと思います。

 さてそこからですが、不本意だとは思いますが、今の仕事に真剣に取り組んでいくしか道はないと思います。必ず職場の方々はあなたの姿勢をみてくれています。

「ゆかの上にこぼれたバケツの水のとびしずくを、あなたがていねいにふいてくれたことだって、ちゃんとわたしの心の中に生きている。生きた仕事をのこしていこう」

 お寺の住職で教育者でもあった東井義雄さんが生徒に贈った言葉です。焦らず、チャンスは必ずまた巡ってきます。
(編集委員・酒井淳昭)

A3
今の仕事がすべてではない


  今のあなたは失敗に固執し、視野が狭くなっていませんか? ちょっと自分が生きる世界を俯瞰してみましょう。あなたが生きるのは、そのプロジェクトの中だけでしょうか。

 あなたは家族や友人に支えられ、花やペットに癒やされ、動植物を食し、誰かが描いたマンガで笑い、誰かが歌った曲に涙する、そんなさまざまな関係性の中で生きているのではないでしょうか。

 今の仕事に精を出すのもいいことです。地位やお金など魅力もあるでしょう。けれどもそれがあなたのすべてではないということも同時に心にとどめておくべきです。仕事を変えてもうまくいくとは限りませんが、自分を追い詰めるくらいなら、いっそと逃げることも選択肢に入れないと、やっていられない場合もあると思うのです。
(本願寺新報記者・星 顕雄)

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※本記事は『築地本願寺新報』掲載の記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。