幸せは、足し算じゃなくて。
土曜日の午後。
家族はみんな出掛けていて、
1人の、何もない時間ができた。
急にできた時間は幸せではあるが、
何となしに持て余してしまう。
ゆっくりゲームの続きでもしようと
深く椅子に腰掛けたけれど、
30分くらいして、ソワソワと、
世界に取り残されているような不安に
背中を押され、外に出た。
1人で過ごせる場所のお気に入りは
近くの本屋さん。
ふと、目についた本を手に取る。
『幸せの本質』
紺色×金色
太陽×星
本の表紙のデザインが
私の好みにストライク🎯してしまった。
私は《作者のあとがき》から読むのが好きなのだが、初っ端から「“幸せの本質”という、たいそうなタイトルをつけてしまって、今もハラハラしている」と書いてあって、なんだか親しみを覚えた。
第一章からパラパラっと捲ると、大きな円グラフが目に入る。
【9つの幸福チェック】とあり、次のような項目が挙げられていた。
心の健康
身体の健康
家族関係
人間関係
仕事
お金
時間
環境
趣味
それぞれ、10点満点で評価して、その理由も書き出してみるものらしい。
自分はどうだろう?と書いてみると、
見事に大きな円が出来上がった。
これは世間一般の評価ではなく、あくまでも自分の中の評価ではあるが。
あれ?
私ってこんなに自己評価が高かったの?とズッコケそうになるくらい、その点数に驚いた。
その理由を考えて、ハッとした事があった。
私、減点方式で幸せを考えているんだ。
幸せが1つあったら1、ではなく、
無意識に10からスタートしていた。
という事は、今の状態が満点で、そこから嫌な事を引いていっている……。
減点される事がないから、点数が高いんだ。
それに気づいて、ふと、5年ほど前に読んだ本を思い出した。
あの本は私の《何も持っていない》という価値観に大きく影響を与えた。
目から鱗、というか、人間が変わるくらいの出会いだった。
私の価値観は、いかに幸せを持っているか、よりも、いかに嫌な事を持っていないか、が重要になった。
それ以来、自分にとって嫌な時間や人間関係と距離を取ってきた。その分、すべてが小さくなったけど、それがちょうど良いと安心できた。
そっか、私、今が幸せなんだ。
自分で書いた大きな円グラフを見て、5年越しに自分の変化を見たような気持ちになった。
まだ、第一章しか読んでいないのに、妙な満足感がある。
あとは、ゆっくり家に帰って読もう。
まだまだ、今日は時間があるのだから。