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短短奇譚

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主にショートショート、短編を書いています。 ジャンルはいろいろです。 たまにエッセイもあります。
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#小説

理想の国

暫く、執筆していなかったのでリハビリを兼ね不遜にも星新一氏の手法を真似つつ、試験的な作品…

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 今からちょうど一年前、父は新千歳空港の国際便ロビーから飛び立った。  定年退職後、よう…

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[短編] 代行サービス

(画像・原案: しょうの / 文: もぐられもん)  世の中にはさまざまな代行サービスがあふれて…

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[短編] 精神的に閉じ込められる話

 その時の僕はどうかしていたんだ。  今思えばなぜ、あんなことをしたのか。  事の発端は…

3

[短編] シール

 街中で胸元にシールを付ける人が増えた。シールの貼り付けは義務ではないが、付けておいた方…

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[短編] 資本主義と豆の木

 チビでほそっちょのジャックは貧しい農家の生まれだ。北国の片田舎で母親と二人で暮らしてい…

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[短編] 男子生徒

 高校一年の夏休みを直前に控えた七月。  宿泊研修が終わると、教室内には目には見えない仕切り壁のようなものができていた。  生徒たちは授業後の休み時間ごとに、それぞれ気心の知れたメンバーと離散集合を繰り返す。  理美子は同じバレー部同士の三人の女子生徒と過ごすことが多かった。  昼休み、いつもの三人で机を向かい合わせて食事していると、教室の隅で一人で弁当を食べている男子生徒のことが気になった。  磐井夏樹というその生徒は黒縁の眼鏡をかけていてるせいもあってか、いつも陰気な表情

[短編] 最後の夏休み

 夏の陽が暮れる頃。田んぼの中から蛙の鳴き声が聞こえてきた。泥の混じったような匂いの夜気…

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[短編] 罪

 いろいろな出会いと様々の幸運と仲間たちに支えられてきた。  勇者は気がつくと、ついに魔…

3

[短編] 人のかたち

「誕生日おめでとう」  学生時代の友人から久しぶりにLINEでメッセージが届いた。  当時から…

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[怪談] 夜の写真撮影会

 これは僕の兄貴から聞いた話なんだけどね。  兄貴は大学生の時に一夏だけ写真サークルに入…

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[短編] 夜の情景

 夜のコンビニ。誘蛾灯に集まる虫たち。少し離れたところにある公園。  暗がりの草むらの中…

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[ショートショート] まっさら

 進路希望に悩む高校生がいた。どこにでもありそうな話だ。  同じクラスの友人も言う。 「未…

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[ショートショート] AI

 ついに、高度な人工知能が生み出された。  人工知能によって地球の気候や地殻変動のメカニズムが解明され、画期的な海底探査機や宇宙探査機が生み出された。  食糧生産や医薬品も凄まじい進歩を遂げた。誰も食べ物に困ることはなく、今まで不治の病と思われていた難病すらも人類は克服したのだ。  気がつくと、人々の人生そのものが余暇となった。各々が好きなことを学び、好きなことをして遊び、好きなように死んでいった。  ある時、趣味で旧式のコンピュータをいじっている男がいた。  ところが、ど