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ときにお調子者

私が悪かった…
同僚と勤務交代してすぐに、60代くらいの夫婦が来た。
旦那さんは慣れた様子で申し込みカードと現金を置く。
私が、同僚の方を見ることもせずに話しかけたのは、彼女がお釣りを渡す直前だったようだ。

同僚はうっかり、100円少なくお釣りをトレーに置いてしまった。
が、すぐに気づいて100円を足そうとしたとき、旦那さんが
『あんた、頭悪いの?大丈夫?』嫌味こってり、たっぷりな言い方をし、人差し指で自らのこめかみ付近をツンツンしながらそう言ったのだ。

同僚が明るめに声を張って
『申し訳ございませんでした』と言ったにもかかわらず、尚も同じジェスチャーをしながら『あんた、頭悪いんだな』また言い放つ。

同僚の顔色が変わってきた。
(耐えて!我慢して!)笑

私は立ち上がり、同僚の横から
『すみませんでした〜ありがとうございました!またお待ちしております!』
はい!そこまで!もうお終い!の含みを込めてそう言うと、旦那さんはお釣りやクジ券を引ったくるように手に取って行ってしまった。

旦那が嫌味をブチかましている間、私は奥さんの方も見ていたが、彼女はなにも言わず伏目がちで、旦那の言葉に終始ウンウン頷いていた。
キレやすい旦那の通常なのだろうか?
口を挟めば自分に怒りを向けてくる旦那には従順にしているしかない。とでも思っているのかな?
そんなことを想像をさせるような奥さんだった。

同僚がプチッとマイクを切る。
『ふざけんなー!!オヤジ!なにアレ?バカ夫婦!ムッかついたわ〜』

『奥さんを見た?なにも言わないで、頷いてたね。それより、ごめんね!私が話しかけちゃったから…』

『いいのいいの。それよりこれこれ』同僚が旦那さんがやってた、指で頭ツンツンのジェスチャーを真似ながら、
『あー久しぶりに腹たったー!絶対当たってほしくないわぁ!』と言った。(笑)

サービス業にはよ〜くあること。
私自身、もうあくびが出るほど経験している。

「お客様の声カード」なんてものが置いてあるお店をたまに見かけることがあるけど、宝くじ売り場にもある。

30代くらいの女性に対し、なんのトラブルもなく応対した後に「お客様の声カード」をごっそり全部持って行かれるのを目にした時は、なぜ?なんで?なにか私、あなたが気に障るようなことでもしちゃった?と少し動揺したが、今のところ会社から注意などは受けていない。
あの人はなんのためにカードを持って行ったんだろう…と、いまだに思い出すことがある。

小さなおばあちゃんがやって来た。
『これを調べてもらえますかぁ?』数十枚の宝くじをトレーに置いた。
『お預かりしますね〜画面の方をご覧くださ〜い』
ガチャンガチャン、機械に吸い込まれていくクジ券をぼんやり眺めていた。

ワオッ!10万円当たり〜!
『あらぁ、すごい!ご当選されてますね〜!』
おばあちゃんは、胸に手を当てて
『うそ?!本当なの?あらまぁ、初めてよ〜!どうしましょ?わ〜ぁ…』
ひとしきり喜びの言葉を言ってから、ジッと私の名札を見た。
『わたしここで買ったのよ!あなたからだったんじゃないかしら?』
日に、数えきれないお客さん相手をする。
常連さんはともかく、よほどの特徴でもなければお顔は覚えていない。
『あなたから買ったような…』と言うおばあちゃんに、
『きっと私ですね!!私から買っていただいたはずです!』笑いながらそう言うと
『そうだと思うわ!そうしておきましょうね』
『そうです!そうしておきましょう!ね〜!』
おばあちゃんも『ね〜!』と言って、ひとしきり談笑した。

それにしても私… 熟れてきたせいか、ちょっとお調子者すぎやしませんか?
自重しなくては。(笑)


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