【おすすめ本紹介】自分探しに終止符を打つ『私とは何か 「個人」から「分人」へ 』【書籍レビュー】
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平野啓一郎さんのベストセラー『私とは何か「個人」から「分人」へ』は、私たちが抱える「本当の自分とは何か?」という問いに対して、新たな視点を提供してくれます。この本は、私たちが普段直面しているアイデンティティの悩みを解消するためのヒントを与えてくれます。
たった一つの「本当の自分」は存在しない
多くの人が「本当の自分」を見つけたいと願い、様々な場面で自分の姿が変わることに戸惑います。しかし、平野さんは、このような「本当の自分はどこかにある」という考え方自体が、苦しみの原因となっていると指摘します。
会社での自分と友人との自分、家族との自分が異なることを、無意識に「どれが本物なのか」と悩むことがありますが、それぞれが「本当の自分」なのだと捉えることで、この悩みは軽減されるのです。
「分人」という新しいアイデンティティの考え方
本書では、「分人」という概念を紹介しています。これは、「個人」という一つの固まりではなく、自分の中に複数の人格(分人)が存在し、それらが状況や相手に応じて表に出るという考え方です。
友人といる時の自分と職場での自分が異なるのは、それぞれ異なる「分人」が表に出ているからです。この視点に立つと、どの自分も本物であり、偽物など存在しないということが理解できます。
分人と環境の関係
さらに、本書では、どの「分人」が表に出るかは、自分だけでなく、相手や環境が大きな影響を与えると説明されています。例えば、礼儀正しい相手と接する時には、自分も礼儀正しい「分人」が現れますが、無礼な相手と接する時には、不機嫌な「分人」が表に出ることが多いのです。
つまり、私たちの人格は半分以上が環境や相手によって決定されていると考えられます。
自分を好きになる方法
自分の全てを好きになることは難しいですが、まずは自分の中の一部の「分人」を好きになることが重要です。
友人といる時の自分や、趣味に打ち込んでいる時の自分を好きになることで、自分に対するポジティブな感情が生まれやすくなります。少しずつ自分の好きな「分人」を増やしていくことで、全体としての自分を肯定できるようになるのです。
まとめ
『私とは何か――「個人」から「分人」へ』は、私たちが「本当の自分」を求めることに対して、解放感を与えてくれる一冊です。
どの「分人」も本物の自分であり、相手や環境に応じて様々な自分が現れることを受け入れることで、アイデンティティに対する悩みは軽減されるでしょう。この新しい視点を持つことで、より自由で柔軟な自分を生きることができるはずです。