Another/掌編小説#1
一.
202X年、政権与党は国民の声を後押しに受け、とある法律を施行する。「個人の通名による社会活動及びそれに関連する法律」。
この法によって、医療やら確定申告やらの行政サービスを本人が申請した通名で受けることができるようになった。
少し仰々しく説明したが、この制度は言ってみれば、「自分発案の公式のあだ名がつけられる」という制度だ。この政策を後押ししたのは、親の良識を疑ってしまうような奇抜な名前、いわゆるキラキラネームを与えられた人間たちである。その人間たちはその通名を