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[漫画]漫画にみる理想の上司3 ー美味しんぼ 富井副部長ー


えっ? 富井副部長がいい上司?

美味しんぼで富井副部長を知らぬ者はいないだろう。「山岡ぁ!」と主人公の山岡を叱り飛ばす中間管理職であり、舌禍事件は数知れず。美味しんぼ屈指のトラブルメーカーである。味に対しても特に鋭敏な感覚を持っている訳ではない。

でも、いい上司であると思う。

山岡を叱り飛ばすのも、普段の勤務態度が悪いからであって、僕が作品を読む限りでは山岡の仕事そのものについて、否定している場面はなかった。

部下のために頭を下げることができる人

山岡がニューギンザデパートの板山社長を怒らせたとき、板山社長は新聞の広告から手を引くと圧力をかけてきた。当然のことながら新聞社にとっては大損害だ。社主の前で営業部長はカンカンになって怒鳴った。

そこを富井副部長は真っ先に頭を下げた。

今の管理職にそれができるか。部下に頭を下げさせることはあっても、部下のために頭を下げる人間を見たことがない。

もう一つ、ファントム無頼の太田司令もそうだ。人命救助のためとはいえ、神田・栗原コンビが米軍のファントムを無断使用し民間人の車にバルカン砲を発射して、自衛隊を辞めなければならなくなった。

神・栗コンビの免職撤回を求め、パイロット全員が辞表を叩きつけたとき、太田司令はこう言い放った。

「馬鹿もん! なめるなよ、青二才のひよっコが! こんなもんで済むなら、わしと矢瀬のでどうにかなっとるわい!」

と、2通の辞表をパイロットに叩きつけた。

どちらも、部下を守るために行動した上司の例である。

昭和は前時代か

どちらも昭和の漫画だ。とかく上が厳しいと言われる時代。しかし、二つの漫画の例から言っても、上司は決して厳しいだけじゃなかった。厳しさと同じくらい、自分の立場をかけて部下を守ってくれた。

無論、そうじゃない上司もいるだろう。

しかし、平成・令和と過ぎていき、いつしか厳しさしか学んでいない管理職・上司が増えていき、残っていったのではないか。

それでは部下もついてこない。何故なら、何も自分たちに益を与えないから。与えるのは説教とペナルティ。聞こう、ありがたいと本当に思うか?

懐古主義かもしれないが、社会では昭和時代のサラリーマンや考え方が悪のように見られる。ハラスメントのみに目を向けるとそうだろう。しかし、全身全霊で部下を守る管理職がいなくなった今の社会ではどちらが悪だろうか。



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