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世代交代 (1分小説)

「もうすぐ、用済みで捨てられるかも」

長倉が言った。

「そんなことないですって。長倉さんが、また必要とされる時が絶対に来ますよ」

新入りの竹田が、長倉をなぐさめた。

「また必要とされる時?キツめのジョークか。この寸胴体型ヤローめ」

不安から、憎まれ口を叩いてしまった。

「寸胴は、長倉さんも同じでしょ」




そんな時、「あいつ」が区役所の受付に呼ばれた。

「お待たせいたしました、どうぞ」

いよいよ、この時がやってきたのだ。

「竹田、あいつをよろしく頼むぞ。この先、怪しい儲け話に乗ったり、すぐ保証人になったりしないか、注意して見ておいてくれよ」

「任せてください」

受付が、とびきりの笑顔であいつに言った。

「ご結婚おめでとうございます。本日、印鑑はお持ちでしょうか」

バッグの中の長倉と竹田は、とたんに静かになった。










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