職業柄 (1分小説)
「刺身や海鮮丼を食べていると、同僚たちから冷たい目で見られて、面倒くさいんだ」
水族館に勤めている男が言った。
「私も、仲間がいる前では、焼き鳥や親子丼は、食べられないのよ」
『日本野鳥の会』の女には、彼の気持ちがよく分かった。
そこへ、動物園の園長がやってきた。
「ワシなんて、完全にベジタリアンさ」
植物園勤務の男も、話に乗ってくる。
「俺の職場では逆だよ。植物や野菜がタブー視されてる」
「あなたは、どう?」
日焼けした若者に、動物園の園長が尋ねた。
「流しそうめんは食べられませんね」
流しそうめん?
「ええ。プールの監視員をしてるんで」
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