【読書メモ】Work in Tech! ユニコーン企業への招待
はじめに
『Work in Tech! ユニコーン企業への招待』読みました。
この本のメッセージを1つに凝縮すると「成長する市場・事業に身を置くことは、仕事人生において最良の選択になる」ということだと思いました。
本書の中で特に興味深いと思った点をまとめてみたいと思います。
1.世界は「落下」している
上記はリクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 出木場さんのメッセージを引用したもの。
私自身もインターネットでなんでも楽にシェアできて、生成AIで楽に文章や資料を作成できるこの世界を経験すると、もう以前の世界には戻りたくないです笑。
産業構造が変わるような変化が始まると後戻りできないという点はGoogleの元会長、エリック・シュミットも類似の考えを示してます。
2.物事の発展は「らせん状」に変化する
この概念は、18世紀末から19世紀初頭のドイツの哲学者、ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルが提唱した「事物のらせん的発展の法則」を引用しつつ同書内で説明されたもの。
この法則が示す事実は「発展とは、視点を変えれば原点回帰である」ということ。例えば古くからあった物事が、テクノロジーによって姿を変えて復活してくる。書籍の再発明→ブログ、ブログの再発明→SNS等。
3.ルールとカルチャーの違い
ルールとは法律や規則であり「良し悪し」の問題。
一方で、カルチャーは「正しいか正しくないか」の問題ではなく、文化や価値観、すなわち「好き嫌い」の問題。
会社や組織には必ずルールや規則があるが、組織としての「カルチャー =好き嫌い」を言葉として明確に表明している企業はそう多くない。
著者が観察する範囲において、この「ルールよりもカルチャーで駆動する」という点が、ユニコーン企業の共通点。
4.OKRとブレイムス
世界的企業を輩出するシリコンバレーでは、多くのテック企業が「OKR( Objectives and Key Results)」というフレームワークを使って目標と日々の活動をマネジメントしている。
OKRとは、著者の目線で意訳する、「Objectives =ワクワクできる状態目標の定義」と、「Key Results =計測可能な成果指標」という要素で成り立っているとのこと。
OKRを運用するポイントは、従業員の〝目線〟を上げさせて、「野心的だけれども実現すれば心からワクワクできる」という目標設定を促すことにある。
今のやり方で売り上げ10%増を目指すのではなく、売り上げを3倍、5倍、 10倍にするために、別のアプローチを考えるきっかけをつくる。
そのうえで「KR: Key Results(成果指標)」を明確化します。「O: Objectives(目標)」を実現するためには、どの水準まで指標を達成できればいいのかを定義する。
そして、「経営者のKR」は「各部門のO」になり、「各部門のKR」は「部門内の各チームの O」になるという形でどんどんつながっていき、組織全体でピラミッド構造になるのが特徴。
OKRで駆動する組織では、当然ながら目標達成の難易度は上がる。しかし、大事なのは「結果よりプロセスを重視する評価制度」と「失敗を称賛するカルチャー」。
OKRを使って組織をマネジメントする以上は、フルスイングで挑戦を促したなら成功と同等、あるいはそれ以上に失敗が称賛されるべき。
メルカリのエンジニアリング組織では「ブレイムレス(Blameless)カルチャー」という文化が公式に宣言されていて、組織風土として根づいている。
組織として大胆な挑戦を促したければ、問題の責任を個人に押し付けるような文化であってはいけない。何か問題が起きたときに犯人を探したり、責任の所在を「個人」に求めて人を処分したりしても、真因がますますわからなくなり、解決から遠ざかる。
問題の原因を常に仕組みに求め仕組みで解決することで、問題の真因を特定できる。そして、ブレイムレスなカルチャーは「大胆な挑戦を促す組織カルチャー」を育むための基盤にもなる。
5.サーバント(支援/奉仕)型リーダーシップ
メンバーが働く環境を整えることでチームの成果を最大化する。メンバーたちを裏から支えることでポテンシャルを活かす「サーバント(支援/奉仕)型リーダーシップ」というマネジメントスタイルがある。
「マネージャーは率先して雑用をすべし」と言いたいわけではなく、「高い成果を上げるためなら雑用もいとわないのがマネージャー」だということ。
サーバント型リーダーシップの実践は、いわゆる「道を舗装すれば、勝手に自走する人材」を採用できていることが前提になる。
過去に Googleは「マネージャーは組織に必要ない」という仮説を立て、試しにエンジニアリング部門のマネージャー職を全廃したことがあったそう。
優秀なエンジニアたちがそれぞれの仕事をし、進捗状況はトップに直接報告すればいいという発想。しかし、最終的な結論は「組織においてマネージャーは必要だ」というものだった。
エンジニアたちは、何かを学ばせてくれたり、意思決定をサポートしてくれたりする応援者を必要としていた。
この実験結果が明らかにしたのは、従業員が高いパフォーマンスを発揮するための環境整備や、日々の業務でつまずいたときに相談できる「応援者」の必要性。まさにサーバント型リーダーシップそのもの。
6.「境界線を越える」プロダクトマネージャーという仕事
プロダクトマネージャーの仕事
プロダクトマネージャーはテック領域において「理系と文系の境界線」や「部署の壁」を越えて仕事をするものの代表格。
ちなみに似たような言葉に「プロジェクトマネージャー」があるが、根本的に役割が異なります。
プロダクトマネージャーは、担当したプロダクトの製品責任者として、その成功のために全力を尽くすポジション。そしてその働き方には、いくつかの特徴がある。
まず、技術経験と企画経験、その両面を求められるので、文系/理系や部門の壁を越えて開発全体をリードすることが求めらる。
また、プロダクトマネージャーは「組織の責任者」ではなく「製品の責任者」なので、チームメンバーに対する責任はない。
つまり、人事権を持たずに〝横串〟で組織を横断しながら開発をリードする役割。著者はP&Gの「ブランドマネージャー」に近い役割と言及している。
プロダクトマネージャーの介在価値
プロダクトマネージャーの介在価値は、本質的には「顧客の代弁者」であり、実際にサービスを利用するお客さまに代わって「不便」「不満」「不安」といった「不」を浮き彫りにして構造化し、解決に向けて組織をリードすること。
しかし、経験に乏しいプロダクトマネージャーの場合、「自分は不便だと思うから」「自分はこのデザインだと使いにくいから」と、自分というサンプルケースだけで、お客さまの気持ちをイメージしようとする。
これでは小粒な改善策ばかりを量産してしまい、「仕事した感」は出るものの、大きな成果にはつながらない。
他人の感覚をシミュレーションし、いろんな役柄を幅広く演じられる「役者」のようなセンスのあるイタコ型のプロダクトマネージャーは、様々なお客さまの不満や不便、不安に寄り添って、その共通項をくくりだす。
また、売る人役であるセールスや、つくる人役であるエンジニアとも、彼らが理解しやすい言葉を使ってコミュニケーションするので、いつの間にか、異なる専門職同士の「翻訳係」のような価値を発揮するようになる。
本当のアイデアというのは複数の問題を一気に解決するもの
優秀なプロダクトマネージャーは、まさにこの「本当の意味でのアイデア」を常に探している。
これは要するに、「生み出すインパクトの大きさ」を考えると同時に、「一粒で2度どころか、3度おいしい解決策」を、見つけだそうとする思考プロセス。左記は優秀なプロダクトマネージャーの共通点。
7.会社員の市場価値は何で決まるのか?
会社員の年収は「市場価値」によって決まると一般的には言われています。 しかし、そもそも市場価値は何によって決まるのか?
著者は下記4点で決まると考えている。
①「業界自体の成長」
②「事業の成長と収益性」
③「会社の人件費に関する方針」
④「個人の実績」
これら4つの要素のかけ算で決まる。
そして、①→④の順番で、その影響は大きくなる。
つまり、個人の年収に与えるインパクトは、個人のスキルや実績などの、いわば「内部要因」よりも、「業界や事業が成長しているか?」「収益性は高いか?」、そして「会社が人件費についてどう考えているか?」という「外部要因」のほうがはるかに大きい。
著者が「転職するなら急成長企業一択だ」と口を酸っぱくして言うのは、これが理由。
8.スキルより大事な「メタスキル」
著者はメタスキルに関して、2017年にふろむださんが書いたブログ記事『多くの若い人より圧倒的に成長速度の速いおっさんと絶望的に遅いおっさんの違い』を引用しています。
一見、世の中には次々と新しいテクノロジーが出現し、変化が加速しているように見えますが、実はその根底を支える既存技術や知識の大部分は変化しておらず、新しい技術はその蓄積の上に成り立っている。
「また新しいものが出てきた」と思っても、それは単なる既存技術の焼き直しということも多い。その際に、これまでの経験で「メタスキル」を養ってきた人ならば、新しい技術を獲得するのも早くなる。
デジタルマーケティングの仕事においてもハードスキル・ソフトスキルに続いてメタスキルも大事に育てていきたいと思いました。
以上です。引き続き勉強を続けます。
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