「たとえ話」が上手い人の頭の中はどうなっているのか?
「たとえば話」や「比喩」がうまい人がいる。「この人はほんと仕事ができるなぁ」と感じる人は、大抵たとえ話や比喩が上手だ。
そういう人たちは「アナロジー思考」を持っていたりする。アナロジーとは直訳すると「類推」「類似性」を意味し、「類似のものから推し量る」こと。もう少し分かりやすく伝えると、「一見異なるように見えながら実は似ている」2つの世界を結びつける力だ。
最近知ったある話を例に挙げてみよう。
キンコン西野がVoicyで話していた「2つの世界の結び付け」
西野さんは、オンラインサロンのメンバーに無償で仕事をしてもらうというスキームを他人に説明すると、大抵の人は理解できず「なんでそんなことをやらせるのか?!」となるそうだ。そういう時は理解を深めてもらうためにBBQを例に出すという。「オンラインサロンの仕組みって例えるならBBQと同じなんです。BBQだってお金を払ってわざわざ火を起こしてお肉を焼いてという煩わしい仕事を自ら買って出ているでしょ?それと同じことなんですよ」と。そう説明すると大抵の人はその価値を理解する、という話だった。
「オンラインサロン」と「BBQ」という一見まったく異なる世界のものを抽象化し、構造の類似性を見出し、その比例関係を利用しながら説明している。
このようなアナロジー思考の元は何なのか、どうすれば鍛えられるかを知りたくて、細谷功さんの著書「アナロジー思考」を読んでみた。
1.アナロジー思考のメリット
①自分への理解が深まる
(新たな領域の知識を取り込む時の理解促進)
②他人への説明が分かりやすくなる
(たとえ話が身近に感じ、より分かりやすく魅力的に伝わる)
③新しい発想に役立つ
(新商品開発や新規事業の時のアイデアにつながる)
2.2つの異なる世界における共通点の見つけ方
大前提として、いかに遠くの世界からアイデアを借りてくるか。
「一見異なるように見えながら似ている」世界を見つけ出し、以下の3点を中心に共通点を見つける。
①一般化(亀→両生類→動物→生物のように上位の分類に置き換え)
②単純化(当該目的に合致した部分のみを取り出し、枝葉は切り捨て)
③構造化(個別の具体的事象間の関係や構造に着目)
3.抽象化思考が得意な人って?
アナロジー思考力のある人は、普段から無意識のうちに物事を抽象化あるいは一般化する傾向にあるが、その行動特徴としては以下がある。
①図解してシンプルに表現する
②極論し、二項対立で考える
③格言好きである
④たとえ話が的確である
⑤似顔絵やあだ名をつけるのがうまい
⑥「美しさ」にこだわる
⑦飽きっぽく話が飛ぶ
4.日常でアナロジー思考力を鍛えるためには?
無意識に物事を抽象化できる人はごくわずか。では、我々はどのようにしてアナロジー思考力を鍛えればよいのだろうか。
それには、常日頃から意識して鍛えなければならない。そのためのいくつかのTipsをまとめた。
①多様な経験を積む 例えば遊びも大事にする
②常にアンテナを張っている状態にする
③常に全ての事象を自分の関心事に持ち込む
④常に仮説を持って挑む
⑤体験したことを抽象化したレベルで記憶しておく
読み終えて
アナロジー思考力は一朝一夕で磨かれるものではない。日頃から意識して世の中を見聞きし、抽象化レベルで記憶にとどめること。そういう点では、前田裕二さん著書の「メモの魔力」と共通点が多いと感じた。メモの魔力のノート術は、「標語」ー「ファクト」ー「抽象化」ー「転用」。
常に日頃からアンテナを張りながら、記憶するためにノートを活用。それらを頭の引き出しからいつでも引き出せるようにする。
「新鮮な魚を一度冷凍して冷蔵庫にしまい、使うときにまた解凍するイメージ」で、抽象化と具体化を行き来するのだ。
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