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信頼は義務じゃない┊︎読書感想

「信頼」って言葉を重苦しくとらえていたのかもなぁって思ったんです。
山岸俊男著、『安心社会から信頼社会へ』という本に、社会心理学の視点から信頼について詳しく解説していました。

信頼と安心

まず、信頼がいらない場合と、信頼が問題になる場合があるのだそうです。
信頼が問題になる、という視点がわたしにはなかったので驚きポイントでした。
どういうことか本書の例を使用します。

例えば、あなたの友人が時価200万円の絵画を担保に100万円の借金を申し込んできたとします。
友人が踏み倒してもあなたが損をすることがないので100万円を貸すことが可能です。
これは「信頼」ではなく「安心」が成立している状態になります。

一方、友人がなんの担保もなしに100万円の借金を申し込んできた場合はどうでしょう?
踏み倒されて自分が損をする可能性があるため、その友人が信頼に値する人物であるかが問題となります。

つまり相手の行動によって危険にさらされる「身」がある場合、信頼が問題となります。
「身」とは実際の身体や生命だけでなく、財産や評価、自尊心、あるいは愛情など幅広い意味での自己利益を指します。

信頼とは

本書における「信頼」て定義はこうです。
・相手が自分を搾取しようとする意志をもっていないという期待の中で、相手の人格や、自分に対して抱いている感情についての評価にもとづく部分の限られている。
・自分が損する可能性が存在するにもかかわらず、相手の(自分に対する館Jっようまでも含めた意味での)人間性ゆえに、相手が自分に対して議土井講堂はとらないだろうと考えること。

相手が信頼に値する行動をとると期待できるかどうかは、その多くの部分を相手の人格の評価、相手が自分に対して持っている態度や感情の評価に依存します。

いままでのわたし

わたしは「信頼」に義務感のようなものを抱いていた気がします。
他者を必ず信頼できなければならず、信頼できなければ自分が悪い、自分にはなにか欠けている。
そんな気持ちがありましたが、これはわたしの思い込みであり、自分を生きづらくさせる強い固定概念だな~と思いました。
信頼できるのが良いか悪いか、とそう判断するものではなく、相手を信頼するかしないか、自分自身が選ぶことが重要なのだと学びました。

「相手を信頼しなきゃ」と自分の損失や負担を押し殺した結果、失敗したり辛い思いをした経験が何度かあります。
その度に「嫌なことは嫌でいいんだ」と自分に言い聞かせてきましたが、自分を優先することに罪悪感を感じてしまったり、見捨てられ不安が湧いて結局限界まで頑張ってしまいます。
「信頼できない」と思うことって悪いことじゃないんだ、と安心しました。

嫌なことは嫌でいいと思うけれど、その前にわたしに必要なのは相手が信頼できるかどうか?という視点を持つこと。

高信頼者と低信頼者

他者への信頼が高い人のほうが相手の人間性を正確に捉えられるのだということも本書では説明されていました。
他者への信頼が高い人は、他者と積極的に関わりを持ちます。
その結果、いろんな人がいるという事実を学習し判断基準(社会的知性)が磨かれていくので、ひどい目に遭う経験がどんどん減っていきます。
そうするとより人間関係に対して楽観的になり、さらに判断基準(社会的知性)がみがかれる・・・という良質なサイクルへと入っていきます。

わたしは心を許した人とはめちゃくちゃ話すけど、良く知らない人には心を許せないと思っている、他者への信頼が薄いタイプの人間です。(こういう人は人間関係の把握が得意なそうです)
こういう人は判断基準(社会的知性)を磨く機会を逃し続けるので、ひどい目に遭う可能性が付きまとい続け、ますます人間関係に悲観的になっていきます。

なんでも自分のせいにしない

昨今、SNSでは自責は美徳であると発信する人が非常に多い印象を持っています。
わたしもそれを信じて生きてきた人間ですが、最近、その生き方だと人生に行き詰って破綻するな~と思うようになりました。
他者の行動まで自分の責任にするのはやりすぎです。
わたしもついついやっちゃうのですが、もしやっている人がいたら注意してください!心を壊します😭

反省すべき点があれば反省して、それ以上のことは相手の要因か、環境の要因です。
他者に心を開いていくことは人間として重要なポイントではありますが、信頼できるかどうかは相手次第!
相手への信頼に責任を持つ必要はなく、責任を持つべきは自分が他者に信頼してもらえる人物であるかどうか?だと思います。

悪気はなくても他者から搾取してしまう人間も、悲しいですが存在します。
相手の徳のために損を引き受けるのは辛いのでやめましょう。
わたしもやめたいです!✊🏻


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