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亜済公
2019年10月28日 10:02
この小説のストーリーを一言で言い表すならば、「才がもう一つの才に着火し、やがて自身は燃え尽きる」話だ。ディスレクシアという病気によって読み書きができない、けれど卓越した記憶力と発想力を持つ田口と、平凡な学生入江が出会うことから、物語は始まる。 読み書きができない田口は、作家を志していた。だが、彼は小説を読むことができない。文字を読もうとすると、それがどうしても「鼻くそ」のように見えてしまうの
2019年10月20日 09:38
我々は、過去と比較し現在を評価する。ではやはり、我々も未来によって比較される存在なのではないか……。そして我々がその未来を良いと思うか悪いと思うかに関わらず、未来は自分自身を評価する。そこに、我々の主観が介在する余地はない。未来を過去の──部外者の基準、常識で語るのは大きな間違いであり、真に正しい、絶対的な評価とは言えないのである。そうでなければ、あらゆる時代はあらゆる種類の評価を受け、飽和した