まだ3杯しか飲んでないというドSバーテンダーに遭遇した後幸運は舞い降りた
はじめに
今まで何軒のバーを訪ねては失敗したことだろう?
あなたは出禁になった経験はあるだろうか?
いや大げさな表現だけれど飲食店の店員さんから注意を受けてしまって食事や酔いどころじゃないなんて経験はあるだろうか?
反対に飲食店の態度や内容にあまりに期待外れなことをされて小言を言う。あるいは、この店には二度と来ないなんていう決意をしたなんてことはないだろうか?
もちろん固くなんらかの信頼関係を築いて心の底から大好きなお店になって再来するのが楽しみなお店がある。
逆に大変な失敗をして恥ずかしくて二度と行けないお店もある。
居酒屋もいいけれどやっぱり私はバー/Barが好き
薄暗い照明にジャズが流れていて扉を開けた瞬間にずらっと並んだお酒の瓶が私を迎えてくれる。
いつもよりも少し気持ちを軽くしてカウンター/Counterを通してバーテンダーさんとお客さんがあーでもないこーでもないとお話をしてる。
そんな空間と時間が大好きだ。
居酒屋も嫌いなわけなじゃない。どちらかというと居酒屋は騒ぐことも比較的許されてるし主に食べる空間であるような気もする。
そしてバーとは比較的に静かでゆったりとしていて飲むことが主であるような気がする。
前置きはこれくらいにしておく。
そもそもバー(Bar)って一体なんである?
バーとはBarと書く
それは止まり木をおそらく意味する。
バルという言い方を最近聞くようになった。これは英語の発音とは違うけれどやはり止まり木がある。止まり木はカウンターにもなっている。
ということなんだろう。
カウンター/Counterとは相対するという用語であろう。
Encounterという単語もあるしcountという単語だってあるしアカウントなんてまさにaccountだ。
つまり何が言いたいかというとCounterの向こうには大切な存在がいる。
バーテンダーさんであってバーテンではない
バーテンダーさんだ。Barにいるお酒の管理人そして優しき人Tenderである。
ジャズソングにTenderlyというタイトルもあるし、かつてラブ・ミー・テンダーという曲も有名で聞いたことのある方も多いことだろう。
それだけにTenderでないつまり優しさもなく嫌な存在であるようなバーテンダーさんはもうそんな名前に負けている。
バーマンBar manとかマスター/Masterとか言われる方はお店の支配人でもあるんだろう。
ただし支配人だからといってお客さんを奴隷(Slave)のように見下したり単純にお金を落としてくれる鴨のようなまなざしで接する事例もまたあるようなんだ。
いけない、つい余計な御託をならべてしまった。
私の悪い癖だ。
つまり私はとあるバーで鴨になった気分でその店を後にしたのである。
閑話休題。
たかが5,6千円じゃないですか?
書いてあることと現実が違いすぎる
面白いバーがあるという情報を得た私がそのお店に着く。
なのに私はふと自分の現金の手持ちがさみしくなっているのに気づいた。
もうすでに飲んでしまった後のまつりだ。
こういう時に友達から教わったのが最初に現金を渡しておくという飲み方である。
その金額を超えそうになったらバーテンダーさんに教えてもらうという飲み方。
ところがあいにくその日はキャッシュオンデリバリーのお店を出た二軒目のお店。
お財布には諭吉もいなくて流行りの渋沢栄一ももちろんいない。
なにか嫌な予感がしてたのについ酔いにまかせて油断していた。
バーテンダーさんに今合計でいくら飲んでいるのか計算をお願いする。
更にいうとそのお店にメニューがないのだ。
一応Webサイトにはメニューらしき一覧表がある。しかしどうにも古い。
まったく更新する気もないようだ。
例えばテーブルチャージは数百円値上げしてるしカクテルでジントニックは1000円払っておつりがじゃらじゃら出るくらい安い表記。
そして現在の価格とは違いますというんじゃまるで参考にもならない。
メニューはありますか?と訪ねた時にはうちにはメニューはありませんとどこか冷たく言われたのだ。
噂を聞いたときにはそのWebサイトを前もって読んでおいた。
不思議なことに値段を聞くのはお客様の自由で当然の権利なんて言ってる。恥ずかしいことじゃないとか書いてある。
情報が古くて経営方針も変わってしまってる感じが漂ってきた。
カードは使えるようだけれどQR決済にはまだ対応してない感じ。
全身から冷や汗が出てくる。ATMで前もっておろしておくべきだった。
私は勇気を振り絞って聞く。
「今私はいくらぐらい飲んでいるのか計算してもらえますか?」
あまりにバーテンダーさんがてんでTenderでない
バーテンダーさんは私にこうおっしゃった。
「(私の飲んだ注文の合計は)大した金額じゃない。」
「まだ3杯しか飲んでいないじゃないですか?」
おいおいお店に入って実は2軒目のお店って最初のオーダーを頼んだ時に打ち明けたし。結構酔いがおじさん回ってるんだ。
お酒を飲むペースもゆっくりさせてほしい。まだ私以外にお客様で混み合うほどでもないくらいに隙間もある。
もう一度強調しておきたい。
バーテンダーさんが、
「お前の飲んでるお酒の合計は大した金額じゃない」
(カクテル2杯ウイスキーストレートで1杯飲んでだ私を)
「まだ3杯しか飲んでいない」
「まだ5,6千円も飲んでないしそんなの大した金額じゃないですよ」
私はわかった。このバーテンダーさんドSなんだと。
確かに私は気の小さいところもある。お金には細かいし。
肉体的には太っ腹な割にお支払いは渋い。
そんな私を追い詰めるようなバーテンダーさんはすでにただの支配人というかご主人さまなんだとお店を出てからようやく気がついた。
私といえばドM体質から脱出中の真っ最中だ。
いかに主体的に自分の人生を作っていくのか?
明日死のうと後悔の少ない人生を模索してる最中だし。
あんなひどいバーは今までなかったよ。
私はお会計をお願いしてギリギリのお札で払いかろうじてもらえた小銭をポケットに入れた。
お金が足りただけ命拾いした。無事お店のドアを開いて脱出できたのだ。
バーテンダーさんは確かにいた
実はこのお店を出た後ですんばらしいバーが見つかった。
偶然大好きなtofubeatsの水星が流れていた。
月に数回しか営業もないらしいのに偶然入店できたのだった。
マスターとそばにいたお客さんとも仲良くなった。
結局1時間ほどさらに夜遊びしてしまう。
DJブースがおいてあり普段はクラブのような形態。
週末しかオープンしていないけれど千円のチャージを払い入店する。
同伴している女性には1杯無料のサービスもついてる。
(ただいま私にはそんなステキな女性はいない。)
がしかし、良いお店で曲のリクエストに応じてくれて大音量で楽しめる。
今ジュークボックスとは♪
喜んで宇多田ヒカルのOne Last Kissをリクエストした。
さらにはロバート・グラスパーのI stand aloneや、
リンキン・パークのSomewhere I belongや、
ティアーズ・フォー・フィアーズのSawing the seeds of loveやら、
最後はやはり宇多田ヒカルでHEART STATIONをかけてもらいお店を出た。
さっきのマスターとは違って年齢の若いとても愛想がよくて音楽にも詳しいし聞き上手でつい話し込んでしまう。
なんでもレコード会社の経歴があってバーを立ち上げたそうだ。
ドSバーでもらった小銭と持ち合わせていた小銭でどうにか1000円のチャージを払えた。
(入店時だけは現金必須なのだ。)
お会計はPayPayにも対応してる。
別に1杯飲もうと2杯飲もうとお店の閉店時間も特に定まってもいない。
なのですごーくまったりできる。
たまたまその日がバースタイル営業の日だったようだ。
ソーダマシンと洋酒の種類もそろっている。
ただ吐いたら1万円の罰金という張り紙がある。
それくらいオーダーがし易い価格設定だった。
メニューの一覧もわかりやすい。
例えば1杯の生ビールが600円だったりする。
テーブルチャージが千円で600円分のワンドリンク制で実質400円だ。
ただし携帯の電波は届きにくいのでちょっと調べ物したい時にはドコモの電波であることが望ましいかもしれないけれど。
私はご機嫌になって最後の3軒目のお店を後にして帰宅したし。
帰宅してトイレを済ませたなりパンツ以外真っ裸でぐぅぐぅと眠りについた。
なにか密度の高い安眠が取れたようだった。
寝る時間はちょっと足りてない。
深夜1時半に帰宅したのだ。
朝の6時前には目覚めてしまった。
飲んだ後ですぐに寝るのは本当は望ましくはない。
更にいうと睡眠時間は7,8時間取るのが理想だ。
それでもついつい夜ふかししてしまうのだな。
ひどいバーテンダーさんに虐げられたのかもしれない。
いやむしろ愛されたのかもしれない。
もうあのドSバーにはいくことはないだろう。
その代わり偶然見つかったミュージックバーとは長いお付き合いになりそうな予感がする。
(了)
ここまで読んでくださりありがとうございます。
皆様に置かれましてはもしバーへ遊びに行く際には相性の合うバーテンダーさんと気さくな会話などができますようにお祈り申し上げます。
そしてまたの機会にもお会いできますように切に願います。
(急にですます調なお願いの〆であいすいません。)