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飛び降り自殺未遂レポ

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2020年8月17日、13階建ての建物の屋上から飛び降り自殺を図るものの、助かっちゃった人の入院日記。
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#発達障害

暗黒の思い出

暗黒の思い出

こういう体になると、失った左腕がまた動くようになったら、自分はものすごく快活な人間になって、幸せになるんじゃないかっていう妄想する。

飛び降りる前も、そう快活な人間ではなかった。

むしろ今の方が活動的になれているとすら言えるかもだ。

全身に重りがついたように動きにくくなり、歯磨きをしたり風呂に入ったりということすら億劫になってくる。
飛び降りる前は、よくそういう状態になり、
「ああこれは鬱病

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栗日記 リハビリ編61

栗日記 リハビリ編61

難しく物事を考えないようにする。

私が物を難しく考えるようになったのはいつからだろう。

単純なもので、難しく考える時間や体力がない時は考えなくて済む。

考えないためにアルコールの力を借りることもあると思う。

もともと物を深く考えるような人間じゃなかった。

今までの人生から言って、私は間違いなくおつむが小さいほうの人間だ。

退職して、そのうち眠れなくなって、睡眠薬を処方してもらって、抗鬱

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やさしくして

やさしくして

生まれてきた意義は特にないと思う。
生きている意味ももともとなかったように思う。

当たり前だがそう考えると楽だ。

他人を前にすると、何を話していいのかわからなくなる。

前向きなことを言わないといけないような気がしてくる。

言葉にする意味がないことしか言っちゃダメなのか。

何を話せばいいのかわからない。

考えることができるだけ私はまだ幸せだ。
入院中に同じ病室にいた老人たちは、もはや自分

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栗日記53:本音の垂れ流し

栗日記53:本音の垂れ流し

現実逃避をする時間が欲しくなる。

以前はそれをお酒の力で何とかしていた。
今は昼寝かもしれない。

もう結婚して子供がいる友達とかもいる。
みんなちゃんと働いてるはずだ。

私だけがこうなった。

それが恥ずかしい。

今は結構いい暮らしができていると思う。

母にいろいろ介助してもらって、好きなだけ寝ておいしいものを食べている。

働いてた時はこういう暮らしを夢見ていたかもしれない。

家族は

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栗日記 リハビリ編50

栗日記 リハビリ編50

今日は整形外科医の通院の日だった。

左太ももの傷はもう少しでふさがる。

前にも言った気がするけど今度こそ本当に治る。

リハビリの人に、もう少し服の着脱などを1人でできるようになるため、練習するよう言われた。

今介助してくれている母や両親に何かあった時のために、独り立ちの準備が必要なんだ。

左腕周りの筋肉がついてきて、リハビリの人からも軽く動かせるようになったと言われた。

お酒飲んでいい

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栗日記 リハビリ編49

栗日記 リハビリ編49

私って人間は大変な神経質で、
「耳にかかる物」に対して意識がいってしまう。

眼鏡。
髪。
マスクの紐。
なんか色々かかる。

許せない。

せめて髪をなくそうと、美容院に行くと、耳の周りを刈ってしまったりする。

以前は眼鏡も嫌で、コンタクトを使っていた。

今は片腕が動かないので、コンタクトができない。

私は東京で職を失って地元に帰ってきた。

地元での生活は私が東京で暮らしていた時にずっと

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栗日記 リハビリ編46

栗日記 リハビリ編46



私はモーガン・フリーマンが好きでたまらない。

どの作品で、どの役であってもすごくいい味を出してるよね。

旨みそのものみたい。

連鎖する暴力の果てに、終盤になってキッドが実は人を殺したのは初めてだと告白するシーンが大好き。

「信じられるか」
「あいつもう息をしないんだ」
と泣きながら言うキッドは初々しくてとってもかわいい。

「殺人を非道な行為だ」
と改めて言うマニーの言葉には重みがあり

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栗日記 リハビリ編45

栗日記 リハビリ編45

私は自分の死後の世界に全く興味がない。

自分が死んだ後、残された人々が何を思い、どう動くのかに関心が持てない。

自己中心的な性格ゆえなのだと思う。

この性格のおかげで、私はあの日、簡単にビルから飛び降りることができた。

「私が死んだ後の世界のことなんて知ったことじゃない。私が死んでいる時点で、それは存在しないも同義だ」
と本気で考えていた。

思い違いも甚だしい。

私ひとり消えたところで

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栗日記 リハビリ編44

栗日記 リハビリ編44



「ボヘミアン・ラプソディ」でラミの演技を見比べてみると、雰囲気が違いすぎてもはや比べられない。

演技って本当に凄い。

コメディにはやっぱりこれぐらいの大団円が似合う。

ヒュー・ジャックマンが本人役で出てきて大分ビビった。

死にたがっていた私を死なせてくれなかった上に、左手まで持っていった神様が若干憎い。

実際には、もっともっと重篤な障害が残っているはずだったところを、左腕の後遺症だけ

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栗日記 リハビリ編41

栗日記 リハビリ編41



奇跡。
かわいいの奇跡。
すずちゃん、あなたは奇跡。

「ブルーアワーにぶっ飛ばす」を観て以降、夏帆さんが好き。あのなんともいえない、脱力した雰囲気。

日本の映画は、「なんか気が重くなる」とか「テンポが悪い」とか言って、今まで見てこなかった。

今後はもう少し見てみようかなと思う。

個人的に好きなのは佳乃ねーちゃんがお葬式終わって速攻でビール飲んでたところ。

今日は訪問看護があった。

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栗日記 リハビリ編39

栗日記 リハビリ編39



個人的にはリメイク版も好きなんだけどこっちの方がさらに好き。

後味の悪いラストは特に愛せる。

リメイク版はキャリー役のクロエちゃんが美人すぎて“悲劇のヒロイン”感が強調されているように見えちゃった。

1976年版はシシーさんがあまりにもハマり役で、血塗れキャリーに覚醒する前からもう怖かった。

リメイク版のバケツ血糊のクオリティがやけに低く見えたのはなんだったんだろう。

とりわけ印象に

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栗日記 リハビリ編38

栗日記 リハビリ編38



ローマな漢たちのキン肉に見惚れる。

完成された肉体を持つ男達で画面は埋め尽くされ、何やら暑苦しい会議が始まる。

しかし筋肉が生み出す反射光の魔術により映画に集中できない。

しかしそれはこの映画のたくさんある見どころの一つに過ぎない。

主人公ジュダ・ベン・ハーの真っ直ぐすぎる瞳に射抜かれたら、どんな人間のハートもイチコロ。

そして顔は見えないイエス様。

当時の時代背景では、神も悪魔も

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栗日記 リハビリ編37

栗日記 リハビリ編37

最近はとても「お酒が飲みたい衝動」に駆られる。

私はもともとお酒大好き人間だから仕方がない。

布団に寝ながら冷静に過去のことを考えたりしていると、死にたくなる。
いつもそうだが。

私ひとり生かすために、膨大な人数の手間と思い、お金がかけられている。

もしまたここで自殺でもすれば、じゃあやっぱり1回目の自殺の時点で成功させておけばよかったねという話になる。

手術にかかったお金、たくさんの人

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栗日記 リハビリ編34

栗日記 リハビリ編34

寝るときは左手をマッサージしてもらうと寝つきやすくなることを発見。

いつも母にマッサージしてもらっている。

歳を重ねれば重ねるほどにマザコンになっていく気がする。

しまいには母の介護なしでは生きていけない体になった。

私の人生は長生きしないと、幸と不幸のバランスが釣り合わないように思う。

思い出したくもないことが多い。
いいこともたくさんあった。

自分で死を選んだりもしたが、その後さら

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