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黒い樹海

📓『黒い樹海』
松本清張
1958〜1960 「婦人倶楽部」連載

「先生、参りましょうか。もう犯人が着いていますわ」

…この日、
祥子は、十時前からアパートの前に立った。その朝は、殊に入念に化粧をした。彼女はだんだん姉より美しいと云われてきた。社の女たちがそう云うのである。姉の美しさを小さいときから羨しく思っていた祥子には、それがうれしかった。
…貿易会社に勤務している「笹原祥子」は親切で頭の良い姉「笠原信子」を慕っていた。ある日、突然、信子の訃報が入る。信子は仙台へ旅に出たはずだったが、浜松市付近のバス事故で死んでいた。「姉は誰かと一緒にバスに乗っていて、その人は事故が発生した途端、姉の傍らから逃げたのではないか…」祥子は姉が勤務していた新聞社に転職し、姉の仕事上の交友関係からその人物を突き止めようとする。社会部記者の「吉井」が頼もしい協力者となった。だが、調査を進めるも、二人が真相を知る寸前になる度に、先回りする真犯人によって、次々と周辺人物が殺害されていく…。

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