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ともしい日の記念

📕『片山廣子随筆集 - ともしい日の記念』
(早川茉莉編、ちくま文庫) 2024
随筆+短歌。単行版未収録の2作品も追加

《十月 溜息する》
🔖よめいり荷物
彼女のためには良人と子供たち、それに良人の働いてゐる世界とかが彼女を取り巻く
🔖「子猫ノハナシ」
さめない眠りの中で私も童話のやうな子猫の世界に遊びにゆけたら幸福であらうと
🔖花屋の窓
静かなおちつきの世界を芥川さんも私もおのおの違った時間に覗いて見たのであった
🔖銀座で
可愛い子猫をお手に載せて背中のごみを吹いておやりになるような御様子だつた
🔖むかしの人
やっぱり私は寂しい。死んだ人もある時は寂しくなって私どもの事を想い出すのでは
🔖Kの返した本
はじめに、だれの紹介もなしで訪ねて来た人だった。

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片山廣子
1878〜1957
歌人、随筆家、アイルランド文学翻訳家(松村みね子名義)。
芥川龍之介晩年の作品『或阿呆の一生』の37章で「才力の上にも格闘できる女性」と書かれ、『相聞』で「君」と歌われたのは片山廣子の事だと言われている。堀辰雄の『聖家族』の「細木夫人」、『菜穂子』の「三村夫人」のモデルとも言われている。
娘は小説家の片山総子(筆名:宗瑛)。1907〜1982。総子は堀辰雄の『聖家族』の絹子、『菜穂子』の菜穂子、『ルウベンスの偽画』のお嬢さんのモデルとなった人物で、堀は総子について「彼女の顔はクラシックの美しさを持っていた」と記している。

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折々私は考へてゐる
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