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emik_sgr
波の塔
📓『波の塔』
松本清張
1959〜1960 「女性自身」連載
「どこにも行けない道って、あるのね」
…この日、
某省局長の娘「田沢輪香子」は友人と深大寺に出かけた際、ある青年と再会する。かつての一人旅の最中、上諏訪で知り合ったことのある青年であった。彼は美しい女性と同伴していた。その新聞を読んだとき、輪香子にすぐ浮かんだのは、深大寺の森で会った頼子の姿だった。
…司法実習生の「小野木喬夫」は、芝居の観劇中に隣席の女性が気分を悪くしているのに気づき、医務室へ連れて行った。一週間ほど経ち、小野木のもとにその時の女性「結城頼子」から、お礼にと夕食の誘いを受ける。彼女は自分の住所もはっきり答えず、秘密めいたところがあった。検事になった小野木は、その後も自分を誘ってくれる彼女を愛するようになる。この日…、逢瀬を重ね続ける二人が向かった先は深大寺であった…。
・・・・・