ミラボオ橋
アポリネールの詩に
突然なにかが決壊して泣き出してしまったので、
いつか近いうちに
私はきちんと涙を流さなければならない。
ミラボオ橋 (作 ギイヨオム・アポリネエル)
ミラボオ橋の下をセエヌ河が流れ
われ等の恋が流れる
わたしは思ひ出す
悩みのあとには楽しみが来ると
(中略)
流れる水のやうに恋もまた死んで逝く
恋もまた死んで逝く
生命ばかりが長く
希望ばかりが大きい
(中略)
日が去り月が行き
過ぎた時も
昔の恋も、ふたたびは帰らない
ミラボオ橋の下をセエヌ河が流れる
日が暮れて鐘が鳴る
月日は流れわたしは残る
【堀口大学 訳詩集『月下の一群』 より抜粋】
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