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Photo by
yukitaka_sawama
20241130「雷雹」
雲の底が抜けて
白い塊が落ちて来る
そのひとつを拾い
手の平で溶かす
冷たさはいつものように
そして小さくなって
それから零れている
濡れたそれは
今までそう在ったにもかかわらず
なくなりはしないのに
もう透明に流れ
地面へと帰る
瞬間の出来事でも
確かにそこに在ったのだと
冷たいままにしておく
雷の圧で
ひしゃげたと思うような振動で
揺れを連結させて
自分も揺れる
どうにも冷たく
そして瞬時に光る
轟音を湛え
どこかに落ちるのは
わたしのところか
あなたのところ
心のどこかで
聴いているのは
いつかの変化と
変わりない日常の安寧
時に目を覚まし少し隠れている
冷たさを通り越し
もう動かないものまでも
そのまま時間を浴びて
転がっている
どこへも行けないけれど
何かの変化でその意味や
意志の欠片として
存在するのであれば
きっとその不可思議ささえ
想起の範疇で
拾えるのかもしれない
偶然の灯火として
空前の前触れだとしても
一向に構わないが
少しだけ静かにして眠っている
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